未破裂脳動脈瘤直達術後の高次脳機能障害をきたす要因とその対策

「緒言」 未破裂脳動脈瘤直達手術の高次脳機能への影響については, 悪化例があるとの報告と認められないとの報告があり, 一定の見解は得られていない4-8)10)11)13)17). 術後に高次脳機能の悪化する症例があるとの報告では, 患者側の要因として, 瘤部位, 高齢, 高血圧などの全身性疾患, 術前の高次脳機能低下, 虚血性脳血管障害の既往などがあげられている4-8)10). 一方, 手術に起因する要因としては, 脳圧排による脳損傷, 髄液排出による術後の硬膜下液貯留や, 静脈や動脈損傷などを起こして脳循環代謝障害をきたすことなどが指摘されている1)4-8)10). しかし, 逆の視点から,...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 6; pp. 387 - 393
Main Authors 井上, 明宏, 大西, 丘倫, 田川, 雅彦, 松本, 調, 久門, 良明, 鄭, 菜里, 大上, 史朗, 渡邉, 英昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.387

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Summary:「緒言」 未破裂脳動脈瘤直達手術の高次脳機能への影響については, 悪化例があるとの報告と認められないとの報告があり, 一定の見解は得られていない4-8)10)11)13)17). 術後に高次脳機能の悪化する症例があるとの報告では, 患者側の要因として, 瘤部位, 高齢, 高血圧などの全身性疾患, 術前の高次脳機能低下, 虚血性脳血管障害の既往などがあげられている4-8)10). 一方, 手術に起因する要因としては, 脳圧排による脳損傷, 髄液排出による術後の硬膜下液貯留や, 静脈や動脈損傷などを起こして脳循環代謝障害をきたすことなどが指摘されている1)4-8)10). しかし, 逆の視点から, 脳損傷や硬膜下液貯留などが, 術後の高次脳機能障害にどの程度関連するかについての検討はない. これらを明らかにすることは, 高次脳機能を考慮した手術アプローチの選択や手術適応を決定する際の重要な情報になることが期待される. 今回, 術後の高次脳機能障害に影響する可能性のある手術に起因する因子(脳損傷, 硬膜下液貯留, 脳梗塞)を明らかにするとともに, それらに関与する患者側の因子について検討した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.387