当院での頚椎・頚髄損傷の傾向と東日本大震災の影響

近年高齢化に伴い転倒などによる非骨傷性頚髄損傷が増加しているとの報告が散見される。2006~2012年の6年間で, 受傷後2日以内に当院に入院し当科で治療に携わった頚椎頚髄損傷患者は167例で男性129例, 女性38例であった。平均年齢57.0歳, 男性56.9歳, 女性58.4歳, 60代にピークがあり, 一年平均24.0例であった。茨城西南広域消防本部内の発生頻度は神経症状を有する頚椎・頚髄損傷は32.0人/100万人/年であった。骨傷有が72例, 骨傷無95例であり, 受傷機転は交通事故38.9%, 転落28.7%, 転倒20.4%, その他12.0%であった。脊髄損傷は年間30~40/...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 63; no. 2; pp. 93 - 98
Main Authors 天野, 国明, 赤荻, 博, 渡辺, 新, 田中, ハルカ, 柴尾, 洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2014
日本農村医学会
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Summary:近年高齢化に伴い転倒などによる非骨傷性頚髄損傷が増加しているとの報告が散見される。2006~2012年の6年間で, 受傷後2日以内に当院に入院し当科で治療に携わった頚椎頚髄損傷患者は167例で男性129例, 女性38例であった。平均年齢57.0歳, 男性56.9歳, 女性58.4歳, 60代にピークがあり, 一年平均24.0例であった。茨城西南広域消防本部内の発生頻度は神経症状を有する頚椎・頚髄損傷は32.0人/100万人/年であった。骨傷有が72例, 骨傷無95例であり, 受傷機転は交通事故38.9%, 転落28.7%, 転倒20.4%, その他12.0%であった。脊髄損傷は年間30~40/100万人でそのうち75%が頚髄損傷で, 20代と50代以降の2相性のピークがあり高齢者の骨傷のない不全麻痺例が増加傾向と報告されている。本調査では60代にピークがあり交通事故による受傷者数は減少傾向にあった。2011年3月11日に日本周辺における観測史上最大の地震である東日本大震災が発生し広範囲に甚大な被害が発生した。各年の受傷機転をみると2011年は転落受傷が14例45.2%と多く, そのうち6例が家屋の修理中の転落など震災の二次災害による受傷と考えられた。当地域は2011年の東日本大震災での震度は5強で, 直接的な被害は県内他地域に比べ大きくなかった。しかし屋根や瓦の修復等, 家屋保全や修復が必要な家屋は少なからずありその作業中の転落受傷のため他年と比べ転落による受傷が多かったと考えられる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.63.93