新時代を迎える神経難病の災害対策:COVID-19パンデミックと災害対策基本法改正を経て

「はじめに」「難病」という表現は昔から自然発生的にある呼び名で, 医学的に厳密に定義された概念ではない. そこで厚生労働省は「難病」を, 1) 原因が不明である, 2) 的確な治療法がない, 3) 予後不良もしくは長期慢性の経過をたどる, 4) 患者とその家族の精神的・物質的負担が極めて大きい, という4つの条件を包含したものとしている. さらに「神経難病」となると難病の中でも神経疾患に分類されたものになるが, 医療行政の面からは338指定難病 (2022年3月31日現在) の中で特に神経系を侵す疾患と言える. 難病患者にどのように接していくかはわれわれ医療従事者が抱える普遍的な問題である....

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 18; no. 4; pp. 371 - 378
Main Author 中根, 俊成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 25.12.2022
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.18.371

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Summary:「はじめに」「難病」という表現は昔から自然発生的にある呼び名で, 医学的に厳密に定義された概念ではない. そこで厚生労働省は「難病」を, 1) 原因が不明である, 2) 的確な治療法がない, 3) 予後不良もしくは長期慢性の経過をたどる, 4) 患者とその家族の精神的・物質的負担が極めて大きい, という4つの条件を包含したものとしている. さらに「神経難病」となると難病の中でも神経疾患に分類されたものになるが, 医療行政の面からは338指定難病 (2022年3月31日現在) の中で特に神経系を侵す疾患と言える. 難病患者にどのように接していくかはわれわれ医療従事者が抱える普遍的な問題である. 難病患者にはケアの特殊性など医療上の困難だけではなく, 家庭生活上の困難, 社会生活上の困難がある. その生活実態について, 些か古いデータではあるが平成元年度東京都多摩地域における難病患者の日常生活状況に関する調査結果がある.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.18.371