先天性腰ヘルニアに対して修復術を施行した腰肋脊椎症候群の1例

症例は生後20日の男児.出生時より右側腹部の突出を認め,当科を紹介受診された.腹部超音波検査で肝右葉S7が部分的に側腹部皮下に脱出していた.さらに胸腹部エックス線写真と単純CT検査で,側弯症,肋骨・椎体の形成異常を認め,腰肋脊椎症候群(LCVS)に伴う先天性腰ヘルニア(CLH)と診断した.無症状であったが側腹部の突出が次第に目立ってきたため生後4か月目に直視下にCLH修復術を施行した.ヘルニア門は径4×3.5 cm大で,辺縁の筋・筋膜が菲薄化しており単閉鎖は困難であったためポリプロピレンメッシュを用いて閉鎖した.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.LCVSは稀な疾患で骨格筋以外にも多彩な...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 52 - 56
Main Authors 山本, 裕俊, 奥村, 健児, 原, 理大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2022
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.58.1_52

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Summary:症例は生後20日の男児.出生時より右側腹部の突出を認め,当科を紹介受診された.腹部超音波検査で肝右葉S7が部分的に側腹部皮下に脱出していた.さらに胸腹部エックス線写真と単純CT検査で,側弯症,肋骨・椎体の形成異常を認め,腰肋脊椎症候群(LCVS)に伴う先天性腰ヘルニア(CLH)と診断した.無症状であったが側腹部の突出が次第に目立ってきたため生後4か月目に直視下にCLH修復術を施行した.ヘルニア門は径4×3.5 cm大で,辺縁の筋・筋膜が菲薄化しており単閉鎖は困難であったためポリプロピレンメッシュを用いて閉鎖した.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.LCVSは稀な疾患で骨格筋以外にも多彩な奇形を併存する症例があり,関連診療科と密に連携しながら長期の経過観察を要すると考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.58.1_52