横行結腸間膜脂肪腫の1例
症例は75歳の男性。健診の胸部レントゲン写真で右中肺野に結節影を指摘され,その精査で胸部CTを施行された。この時,偶然に腹腔内腫瘍を指摘され,当科に紹介となった。 造影CTでは左上腹部から中腹部に,16×10×5 cm大の腫瘍を認めた。境界明瞭で内部は均一な脂肪濃度であった。腫瘍は胃を腹側に圧排していたが,本人に自覚症状はなかった。MRIの所見も同様に内部は均一な脂肪成分であり,明らかな非脂肪成分を含んでいなかった。腹腔内脂肪腫が疑われたが,その大きさから高分化型脂肪肉腫の可能性を否定できず,根治のため手術を施行した。 術中所見では,横行結腸間膜に境界明瞭な柔らかい腫瘍を認めた。摘出した腫...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 406 - 411 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
01.01.2023
日本農村医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.71.406 |
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Summary: | 症例は75歳の男性。健診の胸部レントゲン写真で右中肺野に結節影を指摘され,その精査で胸部CTを施行された。この時,偶然に腹腔内腫瘍を指摘され,当科に紹介となった。 造影CTでは左上腹部から中腹部に,16×10×5 cm大の腫瘍を認めた。境界明瞭で内部は均一な脂肪濃度であった。腫瘍は胃を腹側に圧排していたが,本人に自覚症状はなかった。MRIの所見も同様に内部は均一な脂肪成分であり,明らかな非脂肪成分を含んでいなかった。腹腔内脂肪腫が疑われたが,その大きさから高分化型脂肪肉腫の可能性を否定できず,根治のため手術を施行した。 術中所見では,横行結腸間膜に境界明瞭な柔らかい腫瘍を認めた。摘出した腫瘍の重量は612gであった。病理学的には,成熟脂肪細胞の増殖を認め,悪性を示唆する所見を認めなかった。 腸間膜脂肪腫はまれな腹腔内腫瘍であり,文献的な考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.71.406 |