A-5 高度の黄疸を呈したBasedow病の2症例(第13回杏林医学会総会)
症例1 21歳女性. 妊娠10週でBasedow病と診断されプロピルサイオウラシル(PTU)300mgの投与を受けていた. 内服開始後7週目で黄疸が出現. WBC18100/μl(Eosino1.8%), T-Bil24.6mg/dl, AST763IU/l, ALT597IU/l, ALP689IU/lと薬剤性肝障害を認めた. PTUを内服用ルゴールヘ変更し黄疸は速やかに改善した. 症例2 50歳女性. 多汗と下痢を主訴に近医受診. Basedow病と診断されメチマゾール30mg, プロプラノロール120mgで加療された. 4週間後皮膚掻痒と黄疸が出現. WBC7500/μl(Eosino...
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Published in | 杏林医学会雑誌 Vol. 36; no. 1; p. 86 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
杏林医学会
2005
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Summary: | 症例1 21歳女性. 妊娠10週でBasedow病と診断されプロピルサイオウラシル(PTU)300mgの投与を受けていた. 内服開始後7週目で黄疸が出現. WBC18100/μl(Eosino1.8%), T-Bil24.6mg/dl, AST763IU/l, ALT597IU/l, ALP689IU/lと薬剤性肝障害を認めた. PTUを内服用ルゴールヘ変更し黄疸は速やかに改善した. 症例2 50歳女性. 多汗と下痢を主訴に近医受診. Basedow病と診断されメチマゾール30mg, プロプラノロール120mgで加療された. 4週間後皮膚掻痒と黄疸が出現. WBC7500/μl(Eosino 8.0%), T-Bil21.1mg/dl, AST56IU/l, ALT58IU/l, ALP649IU/lと薬剤性肝障害が疑われた. 両薬剤を中止し水溶性プレドニゾロン30mgを投与されたが黄疸は増悪したため当科転院. ステロイドを漸減し内服用ルゴールに変更後黄疸は消失. PTU開始したところ再度肝障害が増悪し顆粒球減少も認めたため甲状腺全摘術を施行した. 抗甲状腺剤の副作用としては, 発疹や顆粒球減少などがよく知られているが, 稀に肝障害を来すことがあり, その頻度はMMIで0.27%と報告されている. 検索しえた範囲で同様の症例は, 本邦では今回の2症例を含め11症例認めた. 患者年齢に偏りはなく, 男女ほぼ同数. 原因薬剤はMMIがほとんどでPTU単独例は2例. 黄疸発症までの期間は平均37日で, 血清総ビリルビン値の最高値は40.1mg/dlであった. DLSTは9例で行われていたが陽性は2例のみで, 肝生検が行われた例では, MMIでは胆汁うっ滞型, PTUでは肝細胞障害型の所見であった. 抗甲状腺剤中止後も黄疸が遷延し, 多くの例では血清ビリルビンの正常化には2ヵ月以上が必要であった. またBasedow病に対する治療では, 多くの場合アイソトープ治療あるいは甲状腺全摘術が選択されており, 最終的に全例軽快していた. このような副作用はMMI, PTUのいずれでも生じる可能性があり, ほとんどが治療開始2ヵ月目までに発症することが多い. 肝障害が生じた際には, 速やかに他の治療法への変更を考慮する事が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0368-5829 1349-886X |
DOI: | 10.11434/kyorinmed.36.86_1 |