28.部分肺静脈還流異常を伴った肺腫瘍の1例(第117回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会,支部会(記録))
症例は44歳女性. 乾性咳嗽で近医受診. 胸部単純レントゲンで左下肺野に辺縁不整な腫瘤影を指摘され, 胸部CT施行したところ左S6は気腫状でS細に境界明瞭な70×36mm大の腫瘤影が認められた. CT上は肺動脈の走行は正常であったが左下肺静脈が奇静脈へと還流する解剖学的異常が疑われた. 気管支内視鏡検査では, 左B6開口部は確認できなかった. 血液生化学検査ではCRPの軽度上昇を認めたのみであった. 悪性も否定できず今後の感染の原因となる可能性も考慮し, 胸腔鏡下左下葉切除術を施行. 術後4日目に退院となった. 病理組織学的に下葉内側から肺底区に乾酪壊死の目立たない類上皮細胞肉芽腫が認められ,...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 28; no. 6; pp. 457 - 458 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2006
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.28.6_457_6 |
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Summary: | 症例は44歳女性. 乾性咳嗽で近医受診. 胸部単純レントゲンで左下肺野に辺縁不整な腫瘤影を指摘され, 胸部CT施行したところ左S6は気腫状でS細に境界明瞭な70×36mm大の腫瘤影が認められた. CT上は肺動脈の走行は正常であったが左下肺静脈が奇静脈へと還流する解剖学的異常が疑われた. 気管支内視鏡検査では, 左B6開口部は確認できなかった. 血液生化学検査ではCRPの軽度上昇を認めたのみであった. 悪性も否定できず今後の感染の原因となる可能性も考慮し, 胸腔鏡下左下葉切除術を施行. 術後4日目に退院となった. 病理組織学的に下葉内側から肺底区に乾酪壊死の目立たない類上皮細胞肉芽腫が認められ, 内部はZiehl-Neelsen染色陽性の好酸性桿菌が散見された. 以上より肺葉内肺分画症の存在が疑われた. 部分肺静脈還流異常を伴った肺腫瘍という比 較的稀な症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.28.6_457_6 |