38.当院における肺胞出血の検討 : 気管支肺胞洗浄の有用性から(第30回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)
【目的】当院での肺胞出血症例の原因, 治療, 予後について検討した. 【結果】対象は2004年4月から2006年3月までの2年間に当院で診断されたびまん性肺胞出血男性3例, 女性8例の計11例で, 肺胞出血の診断は, 胸部画像上出血を疑わせる陰影がびまん性に存在し, 気管支鏡下気管支肺胞洗浄液で肺胞マクロファージのヘモジデリン貧食像が確認されたものとした. 原因が特定できたものは6例(Wegener肉芽腫症1例, 顕微鏡的多発血管炎3例, 特発性肺血鉄症1例, 凝固異常(大動脈弁置換術後でワーファリン内服中)1例), 原因不明が5例. 診断時自覚的な呼吸困難は全例に認められ, そのほとんどがP...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 29; no. 6; p. 377 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2007
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.29.6_377_2 |
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Summary: | 【目的】当院での肺胞出血症例の原因, 治療, 予後について検討した. 【結果】対象は2004年4月から2006年3月までの2年間に当院で診断されたびまん性肺胞出血男性3例, 女性8例の計11例で, 肺胞出血の診断は, 胸部画像上出血を疑わせる陰影がびまん性に存在し, 気管支鏡下気管支肺胞洗浄液で肺胞マクロファージのヘモジデリン貧食像が確認されたものとした. 原因が特定できたものは6例(Wegener肉芽腫症1例, 顕微鏡的多発血管炎3例, 特発性肺血鉄症1例, 凝固異常(大動脈弁置換術後でワーファリン内服中)1例), 原因不明が5例. 診断時自覚的な呼吸困難は全例に認められ, そのほとんどがPaO2 60 torr未満の急性呼吸不全の状態で, 11例中8例に人工呼吸管理が必要であった. 凝固異常を原因とする症例以外はステロイドを主体とした抗炎症療法を行い, 肺胞出血そのものは全例改善した. しかしステロイド減量に伴う再出血や経過中の感染症の併発が問題であった. 【結論】以前から言われているような血痰・発熱は少なく, 画像所見から肺胞出血を疑い(多くはヘモグロビン値の低下を伴う)気管支鏡検査で診断を確定することが必須である. 診断確定後に原因に応じた治療法を選択し, 再出血をおこさせない免疫抑制療法の調節や, 免疫抑制療法に続発する感染症に注意を払いながら, 慎重に経過観察を行うことが重要である. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.29.6_377_2 |