30.臨床経過中にTSCTにて顕在化した外傷性気管断裂の1例(第34回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は36歳男性で, ワゴン車を運転中に誤って電柱に衝突し受傷し当院救急搬送された. 入院時のCTなどで. 両側気胸, 縦隔気腫, 肺挫傷, 右大腿骨骨折, 右脛骨腓骨開放骨折を認めた. 両側胸腔ドレーン留置後呼吸状態は落ち着き, 即日右下肢骨折部に対して緊急手術が行われた. しかし第2病日より呼吸困難増強し, 胸部CTでは両側気胸は改善するも縦隔気腫の悪化を認めた. 一部気管壁の不整を認めたため, スライス厚1mmで再構成したところ気管右前壁の断裂が顕在化した. 気管支鏡検査では, 気管右側壁の軟骨部と一部膜様部にかけて4cmにわたり縦走する断裂部位を認めた. 同日, 緊急気管瘻閉鎖術が施行...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 5; p. 400
Main Authors 田川, 努, 町野, 隆介, 岸川, 孝之, 佐々木, 英祐, 久富, 恵子, 平野, 勝治, 遠山, 啓亮, 木下, 明敏, 今立, 博子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.5_400_1

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Summary:症例は36歳男性で, ワゴン車を運転中に誤って電柱に衝突し受傷し当院救急搬送された. 入院時のCTなどで. 両側気胸, 縦隔気腫, 肺挫傷, 右大腿骨骨折, 右脛骨腓骨開放骨折を認めた. 両側胸腔ドレーン留置後呼吸状態は落ち着き, 即日右下肢骨折部に対して緊急手術が行われた. しかし第2病日より呼吸困難増強し, 胸部CTでは両側気胸は改善するも縦隔気腫の悪化を認めた. 一部気管壁の不整を認めたため, スライス厚1mmで再構成したところ気管右前壁の断裂が顕在化した. 気管支鏡検査では, 気管右側壁の軟骨部と一部膜様部にかけて4cmにわたり縦走する断裂部位を認めた. 同日, 緊急気管瘻閉鎖術が施行された. 術後は順調に経過し, 術後1ヵ月後の気管支鏡検査にて同断裂部の修復を確認した. 本症例は, 受傷時には気管断裂は明らかではなかったが, 臨床経過中に症状が増悪し, TSCTにて断裂が顕在化した点で比較的稀な経過と思われた. 若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.5_400_1