タヌキとキツネの多様性科学

タヌキ(Nyctereues procyonoides)とアカギツネ(Vulpes vulpes:以後キツネと呼ぶ)は, 日本古来の種々の物語に登場するとともに, 現在の里山や市街地においてさえ見ることのできる身近な食肉目イヌ科の動物である, タヌキの自然分布は日本を含むアジア東部に局在する一方, キツネは北半球のユーラシアおよび北米にまたがって広く分布し, 両者間の動物地理的違いが見られる. 日本列島においては, 両種はともに北海道, 本州, 四国, 九州に分布し, 様々な自然環境へ幅広く適応している. しかし, 日本におけるその生物学はまだ十分に研究されていないのが現状であろう. 本自由集...

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Published in哺乳類科学 Vol. 49; no. 1; pp. 137 - 141
Main Authors 谷地森, 秀二, 増田, 隆一, 福江, 佑子, 浦口, 宏二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2009
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Summary:タヌキ(Nyctereues procyonoides)とアカギツネ(Vulpes vulpes:以後キツネと呼ぶ)は, 日本古来の種々の物語に登場するとともに, 現在の里山や市街地においてさえ見ることのできる身近な食肉目イヌ科の動物である, タヌキの自然分布は日本を含むアジア東部に局在する一方, キツネは北半球のユーラシアおよび北米にまたがって広く分布し, 両者間の動物地理的違いが見られる. 日本列島においては, 両種はともに北海道, 本州, 四国, 九州に分布し, 様々な自然環境へ幅広く適応している. しかし, 日本におけるその生物学はまだ十分に研究されていないのが現状であろう. 本自由集会では, タヌキとキツネに関する研究に取り組んでいる4名の演者(増田隆一, 福江佑子氏, 谷地森秀二氏, 浦口宏二氏)に, 多様性をキーワードとして話題提供していただいた. その後, 従来の研究状況と今後の研究課題について, 演者と参加者の間で活発な討論を行うことができた.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.49.137