29. 胸腺癌の前胸壁浸潤に対する胸骨合併切除の切除範囲決定に胸腔鏡が有用であった1例(第16回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)
症例は55歳, 男性. 前胸部痛を主訴に2007年6月, 当院を受診した. 胸部CT検査で約4cmの縦隔腫瘍が指摘された. 胸部MRI検査では, 腫瘍の右前胸壁, 右肺, 心膜への浸潤が疑われた. CTガイド下生検が施行されたが, 壊死組織のみで診断に到らなかった. 画像所見より完全切除が可能であると判断し, 診断及び治療目的で7月に手術を行った. 胸骨正中切開が可能であるかどうかを確認するために, まず左胸腔より胸腔鏡でアプローチし, 腫瘍の前胸壁浸潤範囲を確認した後, 胸骨正中切開を追加した. 腫瘍は, 右第3, 4肋軟骨, 心膜, 右上葉に浸潤していたため, 腫瘍摘出, 及び心膜, 右肺...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 3; p. 162 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2008
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.30.3_162_3 |
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Summary: | 症例は55歳, 男性. 前胸部痛を主訴に2007年6月, 当院を受診した. 胸部CT検査で約4cmの縦隔腫瘍が指摘された. 胸部MRI検査では, 腫瘍の右前胸壁, 右肺, 心膜への浸潤が疑われた. CTガイド下生検が施行されたが, 壊死組織のみで診断に到らなかった. 画像所見より完全切除が可能であると判断し, 診断及び治療目的で7月に手術を行った. 胸骨正中切開が可能であるかどうかを確認するために, まず左胸腔より胸腔鏡でアプローチし, 腫瘍の前胸壁浸潤範囲を確認した後, 胸骨正中切開を追加した. 腫瘍は, 右第3, 4肋軟骨, 心膜, 右上葉に浸潤していたため, 腫瘍摘出, 及び心膜, 右肺, 右第3, 4肋軟骨, 胸骨体右側の一部の合併切除術を行った. 手術時間は4時間37分, 出血量は260gであった. 術後病理組織診断は胸腺癌(扁平上皮癌)であり, 第3肋軟骨, 心膜, 右肺への浸潤が認められた. 腫瘍の胸壁浸潤範囲を決定するために胸腔鏡を併用したが, 胸骨の切除範囲を必要最小限にとどめるのに胸腔鏡が有用であった. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.30.3_162_3 |