51. 診断・治療に難渋した肺アスペルギルス症の1例(第16回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は74歳女性. 主訴は血痰. 2006年3月咳, 血痰を呈し近医受診. 胸部X線にて左上肺野の孤立結節影を認めたため精査加療目的に紹介となる. 気管支鏡検査施行したところ, 組織上はリンパ球と形質細胞からなる高度な炎症像と僅かにアスペルギルスらしき菌体を認め, 抗酸菌や悪性細胞は認めなかった. 約2ヶ月間イトラコナゾール内服行うも肺陰影, 血痰共に改善しなかったため, ボリコナゾール内服に変更. 更に2ヶ月間経過をみるも肺陰影の増大と血痰の持続あり. 治療方針再検討のため, 再度気管支鏡検査施行したところ, 組織上はアスペルギルスと思われる菌体を多数認めるという所見を得て肺アスペルギルス症...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 3; p. 166
Main Authors 山鳥, 一郎, 濱田, 昇, 高橋, 秀治, 河田, 典子, 高橋, 清, 多田, 敦彦, 宗田, 良, 内田, 亜希子, 柴山, 卓夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.3_166_4

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Summary:症例は74歳女性. 主訴は血痰. 2006年3月咳, 血痰を呈し近医受診. 胸部X線にて左上肺野の孤立結節影を認めたため精査加療目的に紹介となる. 気管支鏡検査施行したところ, 組織上はリンパ球と形質細胞からなる高度な炎症像と僅かにアスペルギルスらしき菌体を認め, 抗酸菌や悪性細胞は認めなかった. 約2ヶ月間イトラコナゾール内服行うも肺陰影, 血痰共に改善しなかったため, ボリコナゾール内服に変更. 更に2ヶ月間経過をみるも肺陰影の増大と血痰の持続あり. 治療方針再検討のため, 再度気管支鏡検査施行したところ, 組織上はアスペルギルスと思われる菌体を多数認めるという所見を得て肺アスペルギルス症と再確認した. 抗菌剤をliposomal AMPHに変更したところ陰影の縮小と血痰症状の改善を認めた. その後, 外来にてボリコナゾールの内服に変更し, 陰影変化が安定したところで抗真菌剤投与中止したが, 現在病変の悪化は認めていない. 診断治療に難渋した肺アスペルギルス症について若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.3_166_4