22.成人T細胞白血病リンパ腫に合併したニューモシスチス肺炎の1例(第32回日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)
成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)に合併したニューモシスチス肺炎(PCP)を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は65歳男性. 平成X年Y月7日, 全身倦怠感と労作時呼吸困難が出現. 次第に症状が増悪し, Y月14日近医受診. 胸部X線にて両肺野にびまん性のすりガラス陰影を指摘され, 精査目的に当院を紹介受診. 来院時体温は36.1℃で表在リンパ節の腫脹はなく, 両側胸部でfine cracklesを聴取し, SpO2は91%(room air)であった. 胸部CTにて, 両肺野の中枢側から末梢にびまん性すりガラス影を認め, 両側肺門リンパ節腫大も伴っていた. 検査所見で...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 31; no. 5; p. 352 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2009
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.31.5_352_1 |
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Summary: | 成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)に合併したニューモシスチス肺炎(PCP)を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は65歳男性. 平成X年Y月7日, 全身倦怠感と労作時呼吸困難が出現. 次第に症状が増悪し, Y月14日近医受診. 胸部X線にて両肺野にびまん性のすりガラス陰影を指摘され, 精査目的に当院を紹介受診. 来院時体温は36.1℃で表在リンパ節の腫脹はなく, 両側胸部でfine cracklesを聴取し, SpO2は91%(room air)であった. 胸部CTにて, 両肺野の中枢側から末梢にびまん性すりガラス影を認め, 両側肺門リンパ節腫大も伴っていた. 検査所見では, 白血球数:41300(好中球22.5%, 異型リンパ球0.5%)/μl, CRP:7.31mg/dlと炎症反応の亢進を認めた. β-Dグルカンは1612pg/mlと異常高値を示し, KL-6:562U/ml, HTLV-I(PA):2048倍であった. 末梢血液像でflower cellを認め, ATLLと診断した. 肺病変はPCPを強く疑い, メロペネム, シプロフロキサシン, ST合剤, ミカファンギンナトリウムにてempiric therapyを開始したが, 酸素化は次第に悪化したため抗菌薬効果不良と判断. ミカファンギンナトリウムをボリコナゾールへ変更し, ガンシクロビルおよびγグロブリンを追加した. さらにATLL肺浸潤も否定できなかったため, メチルプレドニゾロンも追加. その後次第に酸素化は改善し, β-Dグルカンおよび炎症反応も改善した. (Y+1)月2日に気管支鏡検査を行い, BALFよりカリニ原虫を認めPCPと診断した. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.31.5_352_1 |