「できない」ことが「できる」ようになる過程についての質的研究

「1. 問題と目的」「1) 本研究の関心事」本研究の関心事は, 「できない」ことが「できる」ようになる過程について質的に検討することにある. 「できない」ことが「できる」ようになる過程とは, 人間が熟達をしていく過程として捉えることができる. 熟達の概念について大浦 (1995) は, 優れた仕事をする少数の特別な者を指すのではなく, 熟達の前提とは「誰でも充分に練習をすればある程度の成果をあげることができ, 練習を重ねることによって更に向上できる」ものと述べている. 「できない」ことが「できる」ようになる現象はスポーツの領域においても数多くみられる. 例えば, 試合で高いパフォーマンスを発揮...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inスポーツ心理学研究 Vol. 42; no. 2; pp. 51 - 65
Main Authors 豊田, 則成, 福井, 邦宗, 冨永, 哲志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本スポーツ心理学会 2015
Online AccessGet full text
ISSN0388-7014
1883-6410
DOI10.4146/jjspopsy.2015-1415

Cover

More Information
Summary:「1. 問題と目的」「1) 本研究の関心事」本研究の関心事は, 「できない」ことが「できる」ようになる過程について質的に検討することにある. 「できない」ことが「できる」ようになる過程とは, 人間が熟達をしていく過程として捉えることができる. 熟達の概念について大浦 (1995) は, 優れた仕事をする少数の特別な者を指すのではなく, 熟達の前提とは「誰でも充分に練習をすればある程度の成果をあげることができ, 練習を重ねることによって更に向上できる」ものと述べている. 「できない」ことが「できる」ようになる現象はスポーツの領域においても数多くみられる. 例えば, 試合で高いパフォーマンスを発揮するアスリートも, 過酷な練習の中で数多くの「できない」ことが「できる」ようになる過程を体験してきている. また, アスリートに限らず, スポーツを親しむ者にとっても同様のことがいえる. このような過程の中で, 個人の内面はどのような変化を遂げているのか.
ISSN:0388-7014
1883-6410
DOI:10.4146/jjspopsy.2015-1415