鼓膜穿孔症例に対する鼓室形成術後成績の検討

鼓膜穿孔耳の病態は単純な穿孔のみのものから, 中耳の硬化性・炎症性病変が合併し耳小骨連鎖の可動障害を有するものまで多彩である.我々は鼓膜穿孔耳の手術に際し, チェックポイントを決め手順を追って手術を進めている.その術後成績を検討した.対象は1996年6月から1999年5月までの3年間に鼓室形成術を行った鼓膜穿孔耳症例37耳である.耳小骨の可動障害となる病変を石灰化鼓膜, ツチ骨柄先端, 前鼓室棘周辺そして上鼓室と, 順を追って確認・除去した.聴力改善の成功率は全体で89.2%であった.また鼓室・中耳病変の部位と範囲に関連して, パッチテスト時に残存する伝音障害 (気導骨導差) に特徴が見られる...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 105; no. 5; pp. 564 - 569
Main Authors 山岡, 秀之, 松田, 秀樹, 田口, 享秀, 長原, 太郎, 吉田, 高史, 佃, 守, 堀内, 長一, 高橋, 優宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2002
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.105.5_564

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Summary:鼓膜穿孔耳の病態は単純な穿孔のみのものから, 中耳の硬化性・炎症性病変が合併し耳小骨連鎖の可動障害を有するものまで多彩である.我々は鼓膜穿孔耳の手術に際し, チェックポイントを決め手順を追って手術を進めている.その術後成績を検討した.対象は1996年6月から1999年5月までの3年間に鼓室形成術を行った鼓膜穿孔耳症例37耳である.耳小骨の可動障害となる病変を石灰化鼓膜, ツチ骨柄先端, 前鼓室棘周辺そして上鼓室と, 順を追って確認・除去した.聴力改善の成功率は全体で89.2%であった.また鼓室・中耳病変の部位と範囲に関連して, パッチテスト時に残存する伝音障害 (気導骨導差) に特徴が見られることが判明し, 術前における術式予想の参考になりうると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.105.5_564