再生不良性貧血に合併した深頸部感染症の1例

再生不良性貧血を基礎疾患として齲歯より急速に進展した深頸部感染症を経験した.抗生剤治療のみで, 切開術や輸血を行うことなく速やかに治癒した.再生不良性貧血に合併した深頸部感染症の文献的報告は少なく, 2症例を見いだすのみであるがいずれも感染症が制御できずに不幸な転帰をとっていた.文献例ではいずれも発症時に白血球数が低値であったのに対し, 自験例は7,200/μlであった.その他の血液所見には大きな違いが見られなかったことから, 白血球数が予後を決定する重要な因子になったと考えられる.近年における血液疾患の治療法向上に伴い, 再生不良性貧血に合併する深頸部感染症の治療機会も増加すると思われる....

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 105; no. 5; pp. 577 - 580
Main Authors 宇高, 毅, 牧嶋, 和見, 得居, 直公, 平木, 信明, 藤吉, 達也, 塩盛, 輝夫, 吉田, 雅文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2002
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.105.5_577

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Summary:再生不良性貧血を基礎疾患として齲歯より急速に進展した深頸部感染症を経験した.抗生剤治療のみで, 切開術や輸血を行うことなく速やかに治癒した.再生不良性貧血に合併した深頸部感染症の文献的報告は少なく, 2症例を見いだすのみであるがいずれも感染症が制御できずに不幸な転帰をとっていた.文献例ではいずれも発症時に白血球数が低値であったのに対し, 自験例は7,200/μlであった.その他の血液所見には大きな違いが見られなかったことから, 白血球数が予後を決定する重要な因子になったと考えられる.近年における血液疾患の治療法向上に伴い, 再生不良性貧血に合併する深頸部感染症の治療機会も増加すると思われる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.105.5_577