気管支喘息の病態におけるヒスタミンの役割と抗ヒスタミン薬の臨床的有用性の再検証

ヒスタミンは古くから知られた即時型アレルギー反応の化学伝達物質であり, 気管支喘息の病態においても重要な役割を果たしていると考えられてきた. 事実, 気管支喘息患者の肺胞洗浄液中のヒスタミン濃度は健常人と比べ有意に高いことが報告されている. 即時型アレルギー反応により生じると考えられているアレルギー性鼻炎や蕁麻疹に対してH1受容体拮抗薬(H1RA)は臨床的に有効な薬剤としてその使用が推奨されている. 一方, H1RAは気管支喘息の治療ガイドラインでは補助的な使用が推奨されているのみで, 治療薬剤としての地位は高くない. 気管支喘息の治療薬の第一選択は吸入ステロイド剤であり, 加えて長時間作動型...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 2; pp. 185 - 191
Main Authors 鹿内, 俊樹, 中村, 豊, 小林, 仁, 山内, 広平, 前山, 一隆, 小笠原, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2011
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.185

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Summary:ヒスタミンは古くから知られた即時型アレルギー反応の化学伝達物質であり, 気管支喘息の病態においても重要な役割を果たしていると考えられてきた. 事実, 気管支喘息患者の肺胞洗浄液中のヒスタミン濃度は健常人と比べ有意に高いことが報告されている. 即時型アレルギー反応により生じると考えられているアレルギー性鼻炎や蕁麻疹に対してH1受容体拮抗薬(H1RA)は臨床的に有効な薬剤としてその使用が推奨されている. 一方, H1RAは気管支喘息の治療ガイドラインでは補助的な使用が推奨されているのみで, 治療薬剤としての地位は高くない. 気管支喘息の治療薬の第一選択は吸入ステロイド剤であり, 加えて長時間作動型β2刺激薬, テオフィリン, 短時間作動型β2刺激薬などの気管支拡張薬, そしてロイコトリエン受容体阻害薬がガイドラインで推奨されている(Table 1). H1RAは気管支喘息の治療薬として効果がないのだろうか.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.185