多焦点眼内レンズ挿入眼における角膜乱視と裸眼視力の関係

【目的】角膜乱視1.0D以上でも術後裸眼視力が良好な多焦点眼内レンズ（以下IOL）挿入眼に遭遇することがある。2014年5月に多焦点トーリックIOLが市販されたことから角膜正乱視の大きい症例にも適応拡大が見込まれるが、術前角膜乱視1.0D以上であれば多焦点トーリックIOL適応としてよいかを検討するため、多焦点トーリック発売前に多焦点IOLを挿入した症例の術前角膜乱視と裸眼視力の関係を後ろ向きに検討した。 【方法】対象は水晶体再建術前にTMS-5（TOMEY）にて角膜前後面の解析を行い、SN6AD1 （Alcon社）を挿入した50名92眼、平均67.0±8.5歳。術前角膜前面乱視（以下前面乱視）...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 44; pp. 111 - 120
Main Authors 須藤, 史子, 蛭田, 恵理, 渡辺, 逸美, 小林, 千紘, 島村, 恵美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2015
日本視能訓練士協会
Subjects
TMS-5
倒乱視
多焦点眼内レンズ
角膜乱視
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.044F012

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Abstract 【目的】角膜乱視1.0D以上でも術後裸眼視力が良好な多焦点眼内レンズ（以下IOL）挿入眼に遭遇することがある。2014年5月に多焦点トーリックIOLが市販されたことから角膜正乱視の大きい症例にも適応拡大が見込まれるが、術前角膜乱視1.0D以上であれば多焦点トーリックIOL適応としてよいかを検討するため、多焦点トーリック発売前に多焦点IOLを挿入した症例の術前角膜乱視と裸眼視力の関係を後ろ向きに検討した。 【方法】対象は水晶体再建術前にTMS-5（TOMEY）にて角膜前後面の解析を行い、SN6AD1 （Alcon社）を挿入した50名92眼、平均67.0±8.5歳。術前角膜前面乱視（以下前面乱視）と術前角膜前後面乱視（以下全乱視）を0.5D未満群、0.5D以上1.0D未満群、1.0D以上群の3群に分け、さらに各群を直乱視、倒乱視、斜乱視のサブグループに分けて術後2ヵ月の遠近裸眼視力を比較した。 【結果】前面乱視・全乱視とも1.0D以上群の倒乱視は他群と比べ遠見視力が有意に不良（p<0.05）、近見視力でも同様の傾向があったが有意差はなかった（p=0.69）。 【結論】1.0D以上の倒乱視があると、術後の遠見裸眼視力が不良となるため、積極的に乱視矯正をした方が良い。
AbstractList 「要約」【目的】角膜乱視1.0D以上でも術後裸眼視力が良好な多焦点眼内レンズ(以下IOL)挿入眼に遭遇することがある. 2014年5月に多焦点トーリックIOLが市販されたことから角膜正乱視の大きい症例にも適応拡大が見込まれるが, 術前角膜乱視1.0D以上であれば多焦点トーリックIOL適応としてよいかを検討するため, 多焦点トーリック発売前に多焦点IOLを挿入した症例の術前角膜乱視と裸眼視力の関係を後ろ向きに検討した. 【方法】対象は水晶体再建術前にTMS-5 (TOMEY)にて角膜前後面の解析を行い, SN6AD1 (Alcon社)を挿入した50名92眼, 平均67.0±8.5歳. 術前角膜前面乱視(以下前面乱視)と術前角膜前後面乱視(以下全乱視)を0.5D未満群, 0.5D以上1.0D未満群, 1.0D以上群の3群に分け, さらに各群を直乱視, 倒乱視, 斜乱視のサブグループに分けて術後2ヵ月の遠近裸眼視力を比較した. 【結果】前面乱視・全乱視とも1.0D以上群の倒乱視は他群と比べ遠見視力が有意に不良(p<0.05), 近見視力でも同様の傾向があったが有意差はなかった(p=0.69). 【結論】1.0D以上の倒乱視があると, 術後の遠見裸眼視力が不良となるため, 積極的に乱視矯正をした方が良い.
【目的】角膜乱視1.0D以上でも術後裸眼視力が良好な多焦点眼内レンズ（以下IOL）挿入眼に遭遇することがある。2014年5月に多焦点トーリックIOLが市販されたことから角膜正乱視の大きい症例にも適応拡大が見込まれるが、術前角膜乱視1.0D以上であれば多焦点トーリックIOL適応としてよいかを検討するため、多焦点トーリック発売前に多焦点IOLを挿入した症例の術前角膜乱視と裸眼視力の関係を後ろ向きに検討した。 【方法】対象は水晶体再建術前にTMS-5（TOMEY）にて角膜前後面の解析を行い、SN6AD1 （Alcon社）を挿入した50名92眼、平均67.0±8.5歳。術前角膜前面乱視（以下前面乱視）と術前角膜前後面乱視（以下全乱視）を0.5D未満群、0.5D以上1.0D未満群、1.0D以上群の3群に分け、さらに各群を直乱視、倒乱視、斜乱視のサブグループに分けて術後2ヵ月の遠近裸眼視力を比較した。 【結果】前面乱視・全乱視とも1.0D以上群の倒乱視は他群と比べ遠見視力が有意に不良（p<0.05）、近見視力でも同様の傾向があったが有意差はなかった（p=0.69）。 【結論】1.0D以上の倒乱視があると、術後の遠見裸眼視力が不良となるため、積極的に乱視矯正をした方が良い。
Author 須藤, 史子
蛭田, 恵理
渡辺, 逸美
小林, 千紘
島村, 恵美子
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東京女子医科大学眼科学教室
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日本視能訓練士協会
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References 2) ビッセン宮島弘子, 林　研, 吉野真未, 中村邦彦, 吉田起章: 近方加入＋3.0D多焦点眼内レンズSN6AD1の白内障摘出眼を対象とした臨床試験成績. あたらしい眼科 27: 1737-1742, 2010
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6) 升田　豊: 角膜乱視変化と年齢, 性別, 眼軸長, 角膜曲率半径, 乱視の大きさとの関係. IOL&RS 18: 311-314, 2004
4) ビッセン宮島弘子: 多焦点眼内レンズと乱視矯正. あたらしい眼科 25: 1093-1096, 2008
1) ビッセン宮島弘子, 林　研, 平　容子: アクリソフ®Apodized回折型多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズ挿入成績の比較. あたらしい眼科 24: 1099-1103, 2007
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8) 平林一貴, 保谷卓男, 赤羽圭太, 金児由美, 菊島　渉, 鳥山佑一, 他: 倒乱視白内障に対し過矯正Toric IOLを用いた乱視矯正の検討. 臨眼 68: 813-817, 2014
12) 中谷勝己, 中山奈々美, 内山仁志, 吉原浩二, 魚里博: 乱視眼のコントラスト視力に及ぼす瞳孔径の影響. あたらしい眼科 29: 139-143, 2012
5) 三宅俊之, 神谷和孝, 天野理恵, 清水公也: 白内障手術前の角膜乱視. 日眼会誌 115: 447-453, 2011
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– reference: 9) 柳川俊博: トーリック眼内レンズ挿入術において推奨モデルと1段階乱視矯正効果の強いモデルを挿入した症例の比較. 臨眼 67: 717-721, 2013．
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– reference: 10) 二宮欣彦, 小島啓尚, 前田直之: トーリック眼内レンズによる乱視矯正効果のベクトル解析. 臨眼 66: 1147-1152, 2013．
– reference: 5) 三宅俊之, 神谷和孝, 天野理恵, 清水公也: 白内障手術前の角膜乱視. 日眼会誌 115: 447-453, 2011．
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「要約」【目的】角膜乱視1.0D以上でも術後裸眼視力が良好な多焦点眼内レンズ(以下IOL)挿入眼に遭遇することがある. 2014年5月に多焦点トーリックIOLが市販されたことから角膜正乱視の大きい症例にも適応拡大が見込まれるが, 術前角膜乱視1.0D以上であれば多焦点トーリックIOL適応としてよいかを検討するため,...
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SourceType Publisher
StartPage 111
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倒乱視
多焦点眼内レンズ
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Title 多焦点眼内レンズ挿入眼における角膜乱視と裸眼視力の関係
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