エゴグラムと良導絡チャート

近年, 全身的作業から急激な職場環境の変化により部分的・頭脳的労働が主となってきた. その結果として神経症などの情動の変化や二次的結果としての自律神経失調症や心身症などによる労働意欲や能力の低下, あるいは無断欠勤・退職行動などが問題になっている. そこで本研究は, ストレスフルな職場環境が, このような症状を生成する過程において, このような症状に影響を及ぼす要因を受け取り方から視ていこうとするものである. ストレスフルな環境の本質は「脅威」であり, 個体が自己の置かれた環境において, 自己の「生」をなんらかの意味で脅かすものと主観的に認知した場合にそれがストレッサーとして個体の側に生成され...

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Published in日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 2; pp. 12 - 23
Main Authors 竹ノ内, 三志, 橋口, 修, 広田, 秀男, 後藤, 公哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡自律神経学会 1999
日本良導絡神経学会
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ISSN0286-1631
1884-9253
DOI10.17119/ryodoraku1971.27.2_12

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Summary:近年, 全身的作業から急激な職場環境の変化により部分的・頭脳的労働が主となってきた. その結果として神経症などの情動の変化や二次的結果としての自律神経失調症や心身症などによる労働意欲や能力の低下, あるいは無断欠勤・退職行動などが問題になっている. そこで本研究は, ストレスフルな職場環境が, このような症状を生成する過程において, このような症状に影響を及ぼす要因を受け取り方から視ていこうとするものである. ストレスフルな環境の本質は「脅威」であり, 個体が自己の置かれた環境において, 自己の「生」をなんらかの意味で脅かすものと主観的に認知した場合にそれがストレッサーとして個体の側に生成されると考えられる. このようにいくらストレスがかかっても, 受けて側が認知しなければ交感神経も興奮し得ないのである. 1992年の労働省の統計によると, 「強い不安, 悩み, ストレス」の内容別頻度は, (1)職場の人間関係(47.9%)(2)仕事の質(41.2%)(3)仕事の量(33.9%)(4)仕事への適性(25.8%)となる. この結果から, これらは受け取り方の要因(性格特性)に大きく左右されることが判る. そこで今回は, 働く人を中心に性格特性と良導絡との関係を検討するためにエゴグラムを使ってみた. このエゴグラムは, 興抑を使った折れ線グラフであることや, 結果の判定やパターンが大変よく研究されていることなど, また心理療法(治療)を行う上でのチャート(カルテ)であることなど色々な面で良導絡に似ているからである.
ISSN:0286-1631
1884-9253
DOI:10.17119/ryodoraku1971.27.2_12