橈骨遠位端骨折後に長母指伸筋腱の皮下断裂をきたした症例の検討

「はじめに」臨床において橈骨遠位端骨折後に長母指伸筋腱(以下EPLと略す)の皮下断裂を経験することがある. その頻度は低く, 諸家の報告では橈骨遠位端骨折の0.3%以下に合併する8)14)20)24)とされている. その発生機序についても諸説あり, 一定の見解を得ていない. 今回我々は当科におけるEPL皮下断裂の症例7例についてその原因を含め検討したので報告する. 対象および方法 1985-2003年までに, EPLの皮下断裂を合併した橈骨遠位端骨折の患者7例(男性3例, 女性4例)を対象とした. 受傷時の年齢は18-77(平均53)歳であった. それぞれの症例において, 骨折の転位の程度,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 53; no. 4; pp. 800 - 805
Main Authors 浅見, 昭彦, 佛淵, 孝夫, 石井, 英樹, 丸野, 暢彦, 篠田, 侃, 園畑, 素樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2004
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.53.800

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Summary:「はじめに」臨床において橈骨遠位端骨折後に長母指伸筋腱(以下EPLと略す)の皮下断裂を経験することがある. その頻度は低く, 諸家の報告では橈骨遠位端骨折の0.3%以下に合併する8)14)20)24)とされている. その発生機序についても諸説あり, 一定の見解を得ていない. 今回我々は当科におけるEPL皮下断裂の症例7例についてその原因を含め検討したので報告する. 対象および方法 1985-2003年までに, EPLの皮下断裂を合併した橈骨遠位端骨折の患者7例(男性3例, 女性4例)を対象とした. 受傷時の年齢は18-77(平均53)歳であった. それぞれの症例において, 骨折の転位の程度, 骨折から断裂までの期間, 手術方法, および術後成績について検討した. 結果 橈骨遠位端骨折で整復固定が必要な転位を伴う症例が3例であった. そのうち2例に骨接合術を施行した. 骨折線のみで転位をほとんど認めない症例が4例あった. 骨折から断裂までの期間は, 転位を伴う骨折例のうち骨接合した2例は, intraforcal pinningの症例が214日, 掌側プレートの症例が157日目での断裂であった. 転位があり手術を施行しなかった1例は32日後であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.53.800