外傷後に膝関節気腫を生じた一例

【目的】我々は交通外傷後に膝関節気腫を生じた症例を経験したので報告する.【症例】31歳男性.【経過】バイクで走行中,乗用車に追突後左側に転倒し左膝内側に7 mm大の挫創を生じる.単純X線及びCTにて膝関節内ガス像を確認.当直医により創処置を受け独歩にて帰宅後,翌日整形外科受診.膝関節腫脹を認め,関節穿刺にて5 mlのガスと3 mlの淡血性関節液を採取,開放創には縫合処置施行.経口抗菌薬を5日間投与後,創は良好に治癒.採取した関節液の細菌培養は陰性であった.受傷後7日目に職場復帰するが大腿骨内顆部の疼痛が持続するため,受傷23日目にMRIを施行し大腿骨内顆部骨挫傷が確認される.保存的に経過を診た...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 3; pp. 527 - 530
Main Authors 平野, 慎一郎, 浦川, 伸弘, 冨田, 伸次郎, 菅, 政和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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Summary:【目的】我々は交通外傷後に膝関節気腫を生じた症例を経験したので報告する.【症例】31歳男性.【経過】バイクで走行中,乗用車に追突後左側に転倒し左膝内側に7 mm大の挫創を生じる.単純X線及びCTにて膝関節内ガス像を確認.当直医により創処置を受け独歩にて帰宅後,翌日整形外科受診.膝関節腫脹を認め,関節穿刺にて5 mlのガスと3 mlの淡血性関節液を採取,開放創には縫合処置施行.経口抗菌薬を5日間投与後,創は良好に治癒.採取した関節液の細菌培養は陰性であった.受傷後7日目に職場復帰するが大腿骨内顆部の疼痛が持続するため,受傷23日目にMRIを施行し大腿骨内顆部骨挫傷が確認される.保存的に経過を診たところ受傷後10週で疼痛の消失を認めた.【考察】外傷後の関節気腫の存在は創傷部と関節腔との交通性を疑い,気腫を確認するための諸検査は重要で,気腫が存在する場合は感染防止の治療が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.527