人間ドックにおける睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査の意義
目的:近年,中高年男性の健康管理において,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の重要性が認識され,SASスクリーニング検査が健診にて導入されてきている.SASのスクリーニング検査には過眠症状の指標となるESS(epworth sleep iness scale)など問診が最初に行われるが,この場合検者自身の主観に依存する傾向がある.そこで,今回我々は,このような問診に,睡眠中のパルスオキシメーター検査を加えて,SASスクリーニング検査を試みた.方法:対象は,当院にて一泊二日人間ドックを受検した1,496名で,全員にESSスコアを含む睡眠に関する問診を行い,宿泊...
Saved in:
Published in | 健康医学 Vol. 19; no. 4; pp. 580 - 585 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2004
日本人間ドック学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0328 2186-5019 |
DOI | 10.11320/ningendock1986.19.580 |
Cover
Summary: | 目的:近年,中高年男性の健康管理において,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の重要性が認識され,SASスクリーニング検査が健診にて導入されてきている.SASのスクリーニング検査には過眠症状の指標となるESS(epworth sleep iness scale)など問診が最初に行われるが,この場合検者自身の主観に依存する傾向がある.そこで,今回我々は,このような問診に,睡眠中のパルスオキシメーター検査を加えて,SASスクリーニング検査を試みた.方法:対象は,当院にて一泊二日人間ドックを受検した1,496名で,全員にESSスコアを含む睡眠に関する問診を行い,宿泊施設あるいは自宅にて携帯型パルスオキシメーターで睡眠中の動脈血酸素飽和度を測定した.問診からSASが強く疑われる者,ESSスコア高値であった者および酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index:ODI)3%が10以上となった者をSAS疑いの二次検査対象者とし,簡易睡眠モニター検査,もしくはポリソムノグラフィー(polysomnography:PSG)検査を施行した.結果:ODI3%値が10以上は全体の17%の209名で女性は16名のみだった.ODI3%値を規定するパラメーターはBMI(body mass index),いびき,無呼吸の指摘などで,特にBMIとは強い相関を認めた.さらに,二次検査受検者の約85%が無呼吸低呼吸指数(apnea hyponea index:AHI)10以上の睡眠呼吸障害(sleepdisordered breathing:SDB)と診断され,AHI30以上で加療が不可欠と思われた者は53名にのぼっ た.PSG検査のAHIは,パルスオキシメーター検査のODI3%と強い相関を認めたが,ESSスコアとは全く相関を認めなかった.結論:今回の結果より,SAS,SDBをスクリーニングするには問診,ESSスコアなど自覚症状のみでは限界があり,人間ドックでのスクリーニング検査としてはパルスオキシメーター検査も併用するのが有用であると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0914-0328 2186-5019 |
DOI: | 10.11320/ningendock1986.19.580 |