無水エタノールによる硬化療法および鼻粘膜癒着処置を施行したオスラー病による難治性鼻出血の1例

オスラー病による鼻出血症例は, 外来診療でしばしば難渋させられる. 今回, 無水エタノール注入による硬化療法が効果的であった症例を経験したため, 報告する. 症例は75歳の女性, 反復性鼻出血を主訴に来院した. 鼻腔前方広範囲に出血がみられ電気凝固やガーゼ圧迫で止血されず植皮を試みたが脱落した. 次第に両側鼻出血の頻度と量が増えたため, 無水エタノール 0.1cc を数カ所ずつ出血部周辺に注入後, 止血した. 右鼻弁上部に連結型動静脈瘻が存在し, 硬化療法後も数日で出血を繰り返したので, 硬化療法の直後に切除し, 同部位を癒着させた. 本法は特別な装置を要することなく強力な止血が得られると考え...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 6; pp. 874 - 879
Main Authors 内田, 哲郎, 永井, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2016
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:オスラー病による鼻出血症例は, 外来診療でしばしば難渋させられる. 今回, 無水エタノール注入による硬化療法が効果的であった症例を経験したため, 報告する. 症例は75歳の女性, 反復性鼻出血を主訴に来院した. 鼻腔前方広範囲に出血がみられ電気凝固やガーゼ圧迫で止血されず植皮を試みたが脱落した. 次第に両側鼻出血の頻度と量が増えたため, 無水エタノール 0.1cc を数カ所ずつ出血部周辺に注入後, 止血した. 右鼻弁上部に連結型動静脈瘻が存在し, 硬化療法後も数日で出血を繰り返したので, 硬化療法の直後に切除し, 同部位を癒着させた. 本法は特別な装置を要することなく強力な止血が得られると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.874