大腿骨転子部骨折に対する CHS 抜釘術後に同側大腿骨頚部骨折を来した一症例

「はじめに」大腿骨転子部骨折の治療に用いたCHSの抜釘術後に, 明らかな外傷歴なく同側の大腿骨頚部骨折を生じた一症例を経験したので, 報告する. 症例 症例 90歳, 女性. 主訴 右股関節痛 現病歴 庭の掃除中にすべり, 転倒して受傷した. ただちに当院を受診した. 既往歴 10年前よりワーファリンを内服している. 身体的特徴 BMI=16.2kg/m2, 骨密度:%peak mass=59.1% 初診時X線像 右股関節にEvans type 1, group 1の安定型転子部骨折を認めた. 経過 受傷後3日目に日本メディカルマテリアル社製のAS-hip screwを用いた骨接合術を施行した...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 54; no. 4; pp. 643 - 646
Main Authors 瀬形, 建喜, 加藤, 悌二, 國武, 克彦, 菊川, 憲志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2005
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Summary:「はじめに」大腿骨転子部骨折の治療に用いたCHSの抜釘術後に, 明らかな外傷歴なく同側の大腿骨頚部骨折を生じた一症例を経験したので, 報告する. 症例 症例 90歳, 女性. 主訴 右股関節痛 現病歴 庭の掃除中にすべり, 転倒して受傷した. ただちに当院を受診した. 既往歴 10年前よりワーファリンを内服している. 身体的特徴 BMI=16.2kg/m2, 骨密度:%peak mass=59.1% 初診時X線像 右股関節にEvans type 1, group 1の安定型転子部骨折を認めた. 経過 受傷後3日目に日本メディカルマテリアル社製のAS-hip screwを用いた骨接合術を施行した. 術後X線像では, lag screwはTip-apex distanceが10.7mmで良好な位置に挿入されている(図1). 術後41日目に1本杖歩行の状態で退院した. 経時的にX線撮影を行い経過観察していたが, 退院後は疼痛の訴えなく順調な経過であった. 術後6ケ月の時点で軽度右股関節痛を訴え, X線でlag screwの骨頭貫通を認めた(図2)ため, 臼蓋軟骨の損傷防止を目的に術後191日目で抜釘術を施行した. 抜釘により生じた骨欠損部にはβ-TCPを単独で充填した. 術後1週で歩行器による荷重歩行を開始し, 抜釘後2週で退院となった. 抜釘後21日目に誘因なく急に右股関節痛が出現した. その後も疼痛持続するため, 精査目的にて再入院となった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.54.643