外傷性耳小骨連鎖離断の診断と治療
「症例紹介」12歳女性. 金属製の耳かきで右耳清掃中に弟が投げたボールがぶつかり右耳奥を受傷した. 同日夜から回転性眩暈と嘔吐を繰り返した. 翌日近医耳鼻咽喉科医院を受診したところ右耳に高度難聴(図1A)を認めたため二次病院を紹介され入院した. 入院時のABRは右無反応であった. 安静, ステロイド投与による加療を受け退院したが聴力は不変であった. 治療方針の相談を希望し大学病院を紹介された. 受傷1カ月後に大学病院耳鼻咽喉科を初診時, 右骨導聴力はほぼ正常値まで改善していた(図1B). 鼓膜上部に受傷時のものと思われる痂皮が見られたが鼓膜穿孔はなく, 鼓室の液貯留所見もなかった. 眩暈はなか...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 7; pp. 830 - 831 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.07.2013
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.116.830 |
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Summary: | 「症例紹介」12歳女性. 金属製の耳かきで右耳清掃中に弟が投げたボールがぶつかり右耳奥を受傷した. 同日夜から回転性眩暈と嘔吐を繰り返した. 翌日近医耳鼻咽喉科医院を受診したところ右耳に高度難聴(図1A)を認めたため二次病院を紹介され入院した. 入院時のABRは右無反応であった. 安静, ステロイド投与による加療を受け退院したが聴力は不変であった. 治療方針の相談を希望し大学病院を紹介された. 受傷1カ月後に大学病院耳鼻咽喉科を初診時, 右骨導聴力はほぼ正常値まで改善していた(図1B). 鼓膜上部に受傷時のものと思われる痂皮が見られたが鼓膜穿孔はなく, 鼓室の液貯留所見もなかった. 眩暈はなかった. 「1. はじめに」耳小骨離断の原因は耳かき等からの直達外力によるものと頭部外傷等に伴う介達外力によるものに分けられる. 棒状の耳かきで耳内を清掃する習慣があるわが国では耳かきによる外耳道損傷や鼓膜穿孔は比較的ありふれた耳鼻咽喉科的救急疾患である. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.116.830 |