局所再発を繰り返した結核性皮下膿瘍の1例

結核性皮下膿瘍はまれな疾患であり,日常診療で接する機会は極めて少ない.罹患者は高齢者や基礎疾患を有するもの,またはステロイド治療中の症例が多いとされている.【症例】60歳男性.過去2回大腿部近位外側の皮下膿瘍に対し,掻爬・洗浄および抗生剤による治療歴があった.当院受診の1ヶ月前より大腿近位外側の皮下の腫脹を自覚していたが疼痛はなく放置していた,受診後,採血・画像検査による精査を行い,大腿部皮下膿瘍を疑い,受診から2週間後に同部に対して掻爬・洗浄を行った.術中の大転子表面の組織から結核菌PCRが陽性となったため結核性皮下膿瘍と診断し,結核菌治療のため転医となった.原因菌不明の皮下膿瘍を認めた際に...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 4; pp. 774 - 778
Main Authors 鮎川, 周平, 田所, 耕平, 藤原, 将巳, 高岸, 憲二, 宮岡, 健, 堀田, 忠裕, 緒方, 亜紀, 笹栗, 慎太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2022
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Summary:結核性皮下膿瘍はまれな疾患であり,日常診療で接する機会は極めて少ない.罹患者は高齢者や基礎疾患を有するもの,またはステロイド治療中の症例が多いとされている.【症例】60歳男性.過去2回大腿部近位外側の皮下膿瘍に対し,掻爬・洗浄および抗生剤による治療歴があった.当院受診の1ヶ月前より大腿近位外側の皮下の腫脹を自覚していたが疼痛はなく放置していた,受診後,採血・画像検査による精査を行い,大腿部皮下膿瘍を疑い,受診から2週間後に同部に対して掻爬・洗浄を行った.術中の大転子表面の組織から結核菌PCRが陽性となったため結核性皮下膿瘍と診断し,結核菌治療のため転医となった.原因菌不明の皮下膿瘍を認めた際には鑑別診断として結核感染も念頭に置くことが重要と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.774