脊髄造影検査後,遅発性に腰椎硬膜外血腫による下肢麻痺を生じた長期透析患者の一例

【症例】62歳男性,透析歴15年.既往として,腰椎術後(L4/5 PLIF),心疾患などがあり,ワーファリン・バイアスピリン内服.今回,頸椎後縦靭帯骨化症に対し,抗凝固剤中止後,脊髄造影検査(L2/3より穿刺)を施行し,頸椎椎弓形成術を施行.術直後歩行状態は安定していたが,術後2週で右下肢脱力が出現したため,頸椎MRI精査するも異常なく,術後3週で脱力の進行など症状悪化したため,腰椎MRIを施行したところ,腰椎硬膜外血腫を認めた.同日緊急手術(血腫除去術)を行い,現在麻痺症状は快方に向かっている.【考察】本症例の血腫の原因として脊髄造影が考えられた.腰椎穿刺後の血腫の報告では穿刺直後の発症がほ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 4; pp. 917 - 920
Main Authors 岡本, 重敏, 太田, 昌成, 瀬尾, 健一, 泊, 真二, 伊藤, 康正, 安原, 隆寛, 由布, 竜矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2017
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.66.917

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Summary:【症例】62歳男性,透析歴15年.既往として,腰椎術後(L4/5 PLIF),心疾患などがあり,ワーファリン・バイアスピリン内服.今回,頸椎後縦靭帯骨化症に対し,抗凝固剤中止後,脊髄造影検査(L2/3より穿刺)を施行し,頸椎椎弓形成術を施行.術直後歩行状態は安定していたが,術後2週で右下肢脱力が出現したため,頸椎MRI精査するも異常なく,術後3週で脱力の進行など症状悪化したため,腰椎MRIを施行したところ,腰椎硬膜外血腫を認めた.同日緊急手術(血腫除去術)を行い,現在麻痺症状は快方に向かっている.【考察】本症例の血腫の原因として脊髄造影が考えられた.腰椎穿刺後の血腫の報告では穿刺直後の発症がほとんどで遅くとも数日以内に発症している.本症例のように穿刺後2週以上経って発症した報告は渉猟しえた範囲では認めず,極めて稀である.長期透析を含め特殊な要因が重なって生じたものと考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.66.917