頸椎前縦靭帯骨化症術後に急性呼吸不全をきたした1例

頸椎前方アプローチによる術後合併症として,急性呼吸不全,反回神経麻痺による嗄声・嚥下困難,食道損傷等が挙げられる.今回我々は頸椎前縦靭帯骨化症術後に急性呼吸不全をきたした1例を経験したので報告する.症例は50歳男性,2008年に嚥下障害で前縦靭帯骨化症と診断され,2015年1月,頸椎前方アプローチによる骨化切除術を行った.術後10時間で急速に呼吸状態が悪化した.気道閉塞,急性呼吸不全と診断し,緊急コール後直ちにベッドサイドで用手的に開創,血腫除去を行った.創内の血腫量は少量で,活動性出血は認めなかった.同時に気管挿管を行ったが,挿管困難であった.挿管後呼吸状態は急速に改善し,有意な後遺症は認め...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 2; pp. 276 - 279
Main Authors 小原, 伸夫, 江崎, 幸雄, 田中, 宏毅, 寺田, 和正, 貴島, 賢, 宮崎, 清, 宮原, 寿明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.65.276

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Summary:頸椎前方アプローチによる術後合併症として,急性呼吸不全,反回神経麻痺による嗄声・嚥下困難,食道損傷等が挙げられる.今回我々は頸椎前縦靭帯骨化症術後に急性呼吸不全をきたした1例を経験したので報告する.症例は50歳男性,2008年に嚥下障害で前縦靭帯骨化症と診断され,2015年1月,頸椎前方アプローチによる骨化切除術を行った.術後10時間で急速に呼吸状態が悪化した.気道閉塞,急性呼吸不全と診断し,緊急コール後直ちにベッドサイドで用手的に開創,血腫除去を行った.創内の血腫量は少量で,活動性出血は認めなかった.同時に気管挿管を行ったが,挿管困難であった.挿管後呼吸状態は急速に改善し,有意な後遺症は認めなかった.頸椎前方アプローチによる手術後に急性呼吸不全を認めた場合は,速やかな気道確保と創内血腫除去が肝要である.気道閉塞は重篤な合併症であり,診療に関わるスタッフ全員がこれを熟知,初期対応ができるよう準備をしておくことが重要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.276