示指MP関節橈側側副靭帯損傷により指交叉をきたした1例

手指MP関節側副靱帯損傷は母指に多く,母指以外の指では頻度が少ないとされており,その愁訴は疼痛や不安定性が主である.指交叉を伴う示指MP関節側副靱帯損傷を経験したため報告する.症例は45歳女性,牛の手綱と柱に左示指が挟まれたため,自分で手を引き抜いて受傷.単純X線,CT検査では明らかな骨折等はなく保存療法を行った.経過観察中に指交叉が出現したため,MR検査を施行したところ,骨傷や介在物などはなく,MP関節橈側側副靭帯の断裂を認めた.受傷後5ヵ月後に手術を施行した.示指MP関節橈側側副靭帯は中手骨付着部で断裂し瘢痕状となっており,スーチャーアンカーで縫着したところ,指交叉は改善した.指交叉を生じ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 3; pp. 453 - 456
Main Authors 宮崎, 洋一, 岩元, 俊樹, 鳥越, 雄史, 田中, 奈津美, 下永吉, 洋平, 根井, 吾郎, 高橋, 良輔, 小島, 迪子, 吉里, 広, 馬場, 秀夫, 小西, 宏昭, 宮坂, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.70.453

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Summary:手指MP関節側副靱帯損傷は母指に多く,母指以外の指では頻度が少ないとされており,その愁訴は疼痛や不安定性が主である.指交叉を伴う示指MP関節側副靱帯損傷を経験したため報告する.症例は45歳女性,牛の手綱と柱に左示指が挟まれたため,自分で手を引き抜いて受傷.単純X線,CT検査では明らかな骨折等はなく保存療法を行った.経過観察中に指交叉が出現したため,MR検査を施行したところ,骨傷や介在物などはなく,MP関節橈側側副靭帯の断裂を認めた.受傷後5ヵ月後に手術を施行した.示指MP関節橈側側副靭帯は中手骨付着部で断裂し瘢痕状となっており,スーチャーアンカーで縫着したところ,指交叉は改善した.指交叉を生じた場合,指骨骨折を伴うことが多いが,明らかな骨折を認めない場合はMP関節側副靭帯損傷の可能性を念頭において治療することが必要と思われた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.453