温泉医学に寄せられる期待—医療の現場から
私が温泉医学と関わるようになったのは, 当時の岡山大学医学部附属病院三朝分院(現, 岡山大学病院三朝医療センター)に赴任した1990年からである. 主な専門領域は呼吸器疾患・アレルギー疾患であるが, その他の内科系疾患も含め, 現在まで診療を続けてきた. 特に, 高齢者気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を中心とした慢性呼吸器疾患に対して, 温泉療法を活用するとともに, その有効性および作用機序についての研究を行ってきた. 気管支喘息, COPDなどの慢性呼吸器疾患は, 社会の高齢化に伴い近年増加傾向にあるが, 感染症などによる増悪を繰り返すことにより呼吸不全, さらには心不全もきたすこと...
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Published in | The Journal of The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine Vol. 73; no. 4; pp. 229 - 230 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
2010
日本温泉気候物理医学会 The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine |
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ISSN | 0029-0343 1884-3697 |
DOI | 10.11390/onki.73.229 |
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Summary: | 私が温泉医学と関わるようになったのは, 当時の岡山大学医学部附属病院三朝分院(現, 岡山大学病院三朝医療センター)に赴任した1990年からである. 主な専門領域は呼吸器疾患・アレルギー疾患であるが, その他の内科系疾患も含め, 現在まで診療を続けてきた. 特に, 高齢者気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を中心とした慢性呼吸器疾患に対して, 温泉療法を活用するとともに, その有効性および作用機序についての研究を行ってきた. 気管支喘息, COPDなどの慢性呼吸器疾患は, 社会の高齢化に伴い近年増加傾向にあるが, 感染症などによる増悪を繰り返すことにより呼吸不全, さらには心不全もきたすことが知られている. それらの治療については, 近年, 治療ガイドラインが作成されるとともに, わが国でも多種類の新規薬剤が使用できるようになり, 以前に比べると標準治療でのコントロールが容易になってきた. しかしながら, 薬物療法により種々の副作用が出現し得ること, 体動による呼吸器症状の増悪のため体動制限を余儀なくされることもあるなど治療上の問題点も認められている. |
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ISSN: | 0029-0343 1884-3697 |
DOI: | 10.11390/onki.73.229 |