感染性心内膜炎からの塞栓による外側後脈絡叢動脈領域梗塞を来した1 例

要旨:感染性心内膜炎から外側後脈絡叢動脈領域の脳塞栓症を来し,感染性脳動脈瘤を形成した稀な症例を経験したので報告する.症例は44 歳,女性.倦怠感を自覚し近医受診,血液検査にて炎症反応高値であった.その後他院を受診し,軽度左不全麻痺を指摘.MRI にて,右側の海馬,側頭葉内側,視床,外側膝状体,尾状核体部にかけて病変を認め,当科紹介となった.心エコー検査で僧帽弁に疣贅を認めたため感染性心内膜炎と診断.3DCTA および,脳血管撮影では右後大脳動脈(P2)に動脈瘤の形成を認め,その遠位の閉塞が疑われた.以上より,感染性心内膜炎から脳塞栓症を来し,さらに感染性脳動脈瘤が形成されたと推察した.また虚...

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Published in脳卒中 Vol. 37; no. 5; pp. 332 - 336
Main Authors 川西, 裕, 政平, 訓貴, 濱田, 史泰, 藤本, 康倫, 福井, 直樹, 上羽, 哲也, 竹村, 光広, 野中, 大伸, 帆足, 裕, 福田, 真紀, 中居, 永一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2015
日本脳卒中学会
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Summary:要旨:感染性心内膜炎から外側後脈絡叢動脈領域の脳塞栓症を来し,感染性脳動脈瘤を形成した稀な症例を経験したので報告する.症例は44 歳,女性.倦怠感を自覚し近医受診,血液検査にて炎症反応高値であった.その後他院を受診し,軽度左不全麻痺を指摘.MRI にて,右側の海馬,側頭葉内側,視床,外側膝状体,尾状核体部にかけて病変を認め,当科紹介となった.心エコー検査で僧帽弁に疣贅を認めたため感染性心内膜炎と診断.3DCTA および,脳血管撮影では右後大脳動脈(P2)に動脈瘤の形成を認め,その遠位の閉塞が疑われた.以上より,感染性心内膜炎から脳塞栓症を来し,さらに感染性脳動脈瘤が形成されたと推察した.また虚血性病変は右外側後脈絡叢動脈の灌流域と診断した.外側後脈絡叢動脈に限局した脳梗塞は稀であり,またその鑑別診断には注意を要すると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10297