脳卒中片麻痺上肢に対する経頭蓋直流電気刺激治療
要旨:経頭蓋直流電気刺激(以下,tDCS)は経頭蓋磁気刺激と同じ非侵襲的大脳刺激法の1 つで,陽極刺激と陰極刺激がある.陽極刺激では脱分極を生じさせて刺激部位の神経細胞の活動を促進し,陰極刺激は静止膜電位を低下させて神経細胞を過分極させ神経細胞の活動を抑制する.経頭蓋磁気刺激と比較して刺激の空間分解能および時間的分解能が低いが,安全性が高く,機器が比較的安価で運動中も使用できるため,他の運動療法を組み合わせた様々な併用療法への応用が期待されている.臨床研究では,健常者および脳卒中患者の運動機能の改善,運動学習の促進に効果が認められている.tDCS はニューロリハビリテーションにおける重要な手法...
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Published in | 脳卒中 Vol. 41; no. 6; pp. 523 - 528 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2019
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.10681 |
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Summary: | 要旨:経頭蓋直流電気刺激(以下,tDCS)は経頭蓋磁気刺激と同じ非侵襲的大脳刺激法の1 つで,陽極刺激と陰極刺激がある.陽極刺激では脱分極を生じさせて刺激部位の神経細胞の活動を促進し,陰極刺激は静止膜電位を低下させて神経細胞を過分極させ神経細胞の活動を抑制する.経頭蓋磁気刺激と比較して刺激の空間分解能および時間的分解能が低いが,安全性が高く,機器が比較的安価で運動中も使用できるため,他の運動療法を組み合わせた様々な併用療法への応用が期待されている.臨床研究では,健常者および脳卒中患者の運動機能の改善,運動学習の促進に効果が認められている.tDCS はニューロリハビリテーションにおける重要な手法として位置づけられており,近年エビデンスの蓄積が急速に進んでいる.脳由来神経栄養因子(BDNF)や遺伝子多型との関連など,生化学的な研究とも併せて今後もさらなる発展が期待される. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10681 |