エンドサイトーシスにおけるイノシトールリン脂質の役割

「1. 研究の背景」クラスリン依存的エンドサイトーシスはすべての真核細胞において見られる現象であり, 成長因子, 栄養物質, 抗原, 病原菌などを細胞内へ取り込むための基本的な機能である. さらに高等生物においては, 細胞増殖の制御やシナプス神経伝達をはじめ, アポトーシス細胞の除去など実に多様な生命現象に関与している. その分子機構の解明は長年にわたる細胞生物学者の大きな課題であると同時に, 今もって多くの未解決の部分を残していることも事実である. 受容体介在型エンドサイトーシスとは, 細胞膜上の受容体タンパクにリガンド分子が結合し, 細胞内へ取り込まれ, 細胞内輸送経路を経て分解あるいは再...

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Published in生物物理 Vol. 42; no. 3; pp. 131 - 134
Main Author 伊藤, 俊樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2002
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.42.131

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Summary:「1. 研究の背景」クラスリン依存的エンドサイトーシスはすべての真核細胞において見られる現象であり, 成長因子, 栄養物質, 抗原, 病原菌などを細胞内へ取り込むための基本的な機能である. さらに高等生物においては, 細胞増殖の制御やシナプス神経伝達をはじめ, アポトーシス細胞の除去など実に多様な生命現象に関与している. その分子機構の解明は長年にわたる細胞生物学者の大きな課題であると同時に, 今もって多くの未解決の部分を残していることも事実である. 受容体介在型エンドサイトーシスとは, 細胞膜上の受容体タンパクにリガンド分子が結合し, 細胞内へ取り込まれ, 細胞内輸送経路を経て分解あるいは再利用される過程をさす. クラスリン依存的エンドサイトーシス初期の進行過程は(1)クラスリンの集積(2)細胞膜の陥入(被覆ピットの形成)(3)小胞構造(被覆小胞)の形成という一連のステップを経て進行する複雑な分子機構に基づいている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.42.131