左房前壁に潜在する特殊な解剖学的構造

左房前壁の構造的特徴を剖検心35例で検討した.全例において, 左房前壁右縁近傍に卵円窩とほぼ同じレベルで, ほぼ同じ面積の楕円形で照射光を透過するほどに壁の薄いtranslucent area (TA) を認めた.従来報告のなかったこの構造物周囲を太い筋肉束transverse myocardial bundle (TMB) が取り囲んでいた.このTMBは前壁左縁では左心耳一上肺静脈間を走行する稜と連絡し, 前壁右縁ではBachmann束と連絡していた.さらにTMB内あるいは近傍に沿って左から右に冠動脈左房枝が走行していた.左房前壁に対するカテーテルアブレーション治療の報告がみられるようになっ...

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Published in心電図 Vol. 28; no. 6; pp. 574 - 581
Main Authors 足立, 正光, 三明, 淳一朗, 井上, 義明, 久留, 一郎, 井川, 修, 矢野, 暁生, 加藤, 克, 飯塚, 和彦, 井上, 貴央, 小倉, 一能
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2008
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.28.574

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Summary:左房前壁の構造的特徴を剖検心35例で検討した.全例において, 左房前壁右縁近傍に卵円窩とほぼ同じレベルで, ほぼ同じ面積の楕円形で照射光を透過するほどに壁の薄いtranslucent area (TA) を認めた.従来報告のなかったこの構造物周囲を太い筋肉束transverse myocardial bundle (TMB) が取り囲んでいた.このTMBは前壁左縁では左心耳一上肺静脈間を走行する稜と連絡し, 前壁右縁ではBachmann束と連絡していた.さらにTMB内あるいは近傍に沿って左から右に冠動脈左房枝が走行していた.左房前壁に対するカテーテルアブレーション治療の報告がみられるようになっているが, 今回, われわれが確認した構造物の存在を理解することは左房前壁に対するカテーテルアブレーションに伴う合併症を回避する意味でも, 同部位における電気生理学的特性を検討するうえでも重要と考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.28.574