頸部痛ならびに片麻痺で発症し自然治癒した特発性脊髄硬膜外血腫の1例:MRIでの血腫の経時的変化

頸部痛ならびに片麻痺で発症し,保存的治療にて自然治癒した特発性脊髄硬膜外血腫を経験したので,MRI上の経時的変化とともに報告する.症例は52歳の女性で,突然の左後頸部痛と左片麻痺にて発症した.頭部MRIでは異常所見は認められず,頸部MRIで脊髄硬膜外血腫が認められた.神経症状が改善傾向にあったため,保存的に治療しながら経時的にMRI followを行った.時間経過とともに血腫は退縮傾向を示し,ヘモグロビンの代謝過程に応じた信号変化がみられた.従来は緊急手術の対象となることが多かったが,本症例のように神経症状の回復傾向が認められる例は保存的に治療可能と考えられる.その場合も神経症状の増悪がみられ...

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Published in脳卒中 Vol. 34; no. 2; pp. 89 - 93
Main Authors 岡田, 仁, 香川, 賢司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2012
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.34.89

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Summary:頸部痛ならびに片麻痺で発症し,保存的治療にて自然治癒した特発性脊髄硬膜外血腫を経験したので,MRI上の経時的変化とともに報告する.症例は52歳の女性で,突然の左後頸部痛と左片麻痺にて発症した.頭部MRIでは異常所見は認められず,頸部MRIで脊髄硬膜外血腫が認められた.神経症状が改善傾向にあったため,保存的に治療しながら経時的にMRI followを行った.時間経過とともに血腫は退縮傾向を示し,ヘモグロビンの代謝過程に応じた信号変化がみられた.従来は緊急手術の対象となることが多かったが,本症例のように神経症状の回復傾向が認められる例は保存的に治療可能と考えられる.その場合も神経症状の増悪がみられた場合は速やかに手術を考慮し,そのタイミングを逸しないことが肝要である.また頸髄出血性疾患でも片麻痺を来し得るということを念頭におき,疑ったら頸部まで含めた画像評価を行うことを躊躇してはならない.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.34.89