テント上脳内血腫を伴うクモ膜下出血を来した破裂上小脳動脈瘤の1例

症例は48歳男性,突然の意識障害及び右片麻痺で発症した.頭部CTで橋上部左側・左大脳脚部から左基底核部にかけての脳内血腫を伴うクモ膜下出血を認め,脳血管撮影では上小脳動脈に上向きの動脈瘤を認めた.直ちに動脈瘤コイル塞栓術を行ったのち,開頭脳内血腫除去術及び減圧開頭術を施行した.術後,意識状態は徐々に改善していき,失語症および右片麻痺を残すも意識清明となり,リハビリテーションのため転院となった. 脳内血腫を伴うクモ膜下出血は中大脳動脈瘤や前大脳動脈瘤に多く,テント下の上小脳動脈瘤破裂によりテント上脳内血腫を来たすことは極めて稀であり,我々が検索した限りでは同様の報告はみられなかった.本症例におい...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 31; no. 3; pp. 168 - 172
Main Authors 難波, 宏樹, 小泉, 慎一郎, 水谷, 敦史, 中山, 禎司, 田中, 敬生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2009
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.31.168

Cover

More Information
Summary:症例は48歳男性,突然の意識障害及び右片麻痺で発症した.頭部CTで橋上部左側・左大脳脚部から左基底核部にかけての脳内血腫を伴うクモ膜下出血を認め,脳血管撮影では上小脳動脈に上向きの動脈瘤を認めた.直ちに動脈瘤コイル塞栓術を行ったのち,開頭脳内血腫除去術及び減圧開頭術を施行した.術後,意識状態は徐々に改善していき,失語症および右片麻痺を残すも意識清明となり,リハビリテーションのため転院となった. 脳内血腫を伴うクモ膜下出血は中大脳動脈瘤や前大脳動脈瘤に多く,テント下の上小脳動脈瘤破裂によりテント上脳内血腫を来たすことは極めて稀であり,我々が検索した限りでは同様の報告はみられなかった.本症例においては開頭術のみでは再出血した際に動脈瘤の処置が困難になると予想されたため,あらかじめ脳動脈瘤コイル塞栓術を行ったのち開頭血腫除去術を行った.このような併用療法は有効かつ安全な治療法であると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.31.168