ICH-E14に基づいた心毒性治験のためのQT計測システム

近年, 薬剤誘発性QT延長症候群による突然死が社会的問題となっている.すべての新薬の安全性を確保するために, 開発段階で心電図QT間隔を計測する国際的なガイドライン (ICH-E14) が提案されている.われわれはICH-E14に基づいた新しいQT計測システムを開発した.このシステムは, はじめにコンピュータ上で2名の臨床検査技師がQT間隔を判読した後, 医師が適切な数値を決定する.このシステムを用いて, 健康な男性50名の心電図データを解析し, その有用性を検証した.最終判読者である医師2名のばらつきは0.34msで, 同一判読者のばらつきは-0.25msと-0.29msであった.次に, 塩...

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Published in心電図 Vol. 27; no. 1; pp. 83 - 92
Main Authors 神谷, 香一郎, 植田, 典浩, 堀場, 充, 安井, 健二, 児玉, 逸雄, 武藤, 貴雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2007
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.27.83

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Summary:近年, 薬剤誘発性QT延長症候群による突然死が社会的問題となっている.すべての新薬の安全性を確保するために, 開発段階で心電図QT間隔を計測する国際的なガイドライン (ICH-E14) が提案されている.われわれはICH-E14に基づいた新しいQT計測システムを開発した.このシステムは, はじめにコンピュータ上で2名の臨床検査技師がQT間隔を判読した後, 医師が適切な数値を決定する.このシステムを用いて, 健康な男性50名の心電図データを解析し, その有用性を検証した.最終判読者である医師2名のばらつきは0.34msで, 同一判読者のばらつきは-0.25msと-0.29msであった.次に, 塩酸モキシフロキサシン400mgまたはスパルフロキサシン200mgを内服した健常人男性のQTcを計測したところ, それぞれ8.3±14.5ms, 13.0±15.0msと有意なQT延長を示したため, 本システムが薬剤によるQT延長評価に有用であると考える.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.27.83