当事者団体に登録する一側性難聴者を対象とした聞こえの障害状況に関する調査

要旨 : 一側性難聴による主観的な聞こえの障害状況について, 難聴側の聴力レベルおよび発症時期による特徴を明らかにすることを目的として調査を実施した。主観的評価には The Speech, Spatial and Qualities of Hearing Scale (SSQ) を用い, 医療機関を定期受診していない一側性難聴者からも広く回答を得るため, 当事者団体に登録する成人一側性難聴者を対象に Web 調査を実施した。425名より回答が得られ, 一側性難聴者の聞こえの障害は, 空間認識において最も困難さが生じ, 特定の会話場面での支障や傾聴の努力を要する実態が示された。難聴側の残存聴力に...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 2; pp. 128 - 135
Main Authors 岡野, 由実, 久保田, 江里, 高橋, 優宏, 古舘, 佐起子, 岩崎, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2024
日本聴覚医学会
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Summary:要旨 : 一側性難聴による主観的な聞こえの障害状況について, 難聴側の聴力レベルおよび発症時期による特徴を明らかにすることを目的として調査を実施した。主観的評価には The Speech, Spatial and Qualities of Hearing Scale (SSQ) を用い, 医療機関を定期受診していない一側性難聴者からも広く回答を得るため, 当事者団体に登録する成人一側性難聴者を対象に Web 調査を実施した。425名より回答が得られ, 一側性難聴者の聞こえの障害は, 空間認識において最も困難さが生じ, 特定の会話場面での支障や傾聴の努力を要する実態が示された。難聴側の残存聴力により空間認識が比較的保たれる一方で, 音の明瞭さや音の質ではかえって不自然な音印象が生じることが推測された。青年期以降の後天性発症ではより困難さを自覚するが, 空間認識については発症時期に関わらず共通して困難さが生じることが示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.67.128