覚醒剤乱用後にみられた脳血管障害の2例
【目的】覚醒剤乱用後に発症した脳血管障害の2例を経験したので,文献的考察を加え報告する.【症例1】36歳男性.数年来の覚醒剤常用者.覚醒剤を加熱吸引後,しばらくして突然右上下肢脱力が出現した.来院時は昏睡状態で,頭部CTで左大脳半球に巨大出血を認めた.来院3時間後には心呼吸停止状態となり,入院69日目に死亡した.【症例2】57歳男性.20代から覚醒剤を常用.覚醒剤静注後から倦怠感と体動困難を訴え始めた.2日後,意識障害と発熱(38.7°C)で入院.尿トライエージ検査は,アンフェタミン陽性だった.頭部MRIでは,小脳と脳幹に多発性梗塞を認めた.敗血症および菌塊塞栓による脳梗塞と診断され,抗菌薬治...
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Published in | 脳卒中 Vol. 44; no. 5; pp. 564 - 569 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2022
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 【目的】覚醒剤乱用後に発症した脳血管障害の2例を経験したので,文献的考察を加え報告する.【症例1】36歳男性.数年来の覚醒剤常用者.覚醒剤を加熱吸引後,しばらくして突然右上下肢脱力が出現した.来院時は昏睡状態で,頭部CTで左大脳半球に巨大出血を認めた.来院3時間後には心呼吸停止状態となり,入院69日目に死亡した.【症例2】57歳男性.20代から覚醒剤を常用.覚醒剤静注後から倦怠感と体動困難を訴え始めた.2日後,意識障害と発熱(38.7°C)で入院.尿トライエージ検査は,アンフェタミン陽性だった.頭部MRIでは,小脳と脳幹に多発性梗塞を認めた.敗血症および菌塊塞栓による脳梗塞と診断され,抗菌薬治療を行った.しかし,全身状態は徐々に悪化し,入院10日目に死亡した.【結論】年齢が若く,高血圧や糖尿病等の基礎疾患のない脳血管障害症例では,覚醒剤乱用が原因となった可能性を考慮する必要がある. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10992 |