伊勢志摩地区における心原性脳塞栓症に対する抗血栓療法の現状

【背景および目的】脳塞栓予防のため,心房細動には抗凝固療法が必要となる場合がある.本研究の目的は,心原性脳塞栓症患者の発症前抗血栓療法の現状を明らかにすることである.【方法】2017年1月1日から2019年12月31日の間に当院に入院した患者で,心房細動が原因の心原性脳塞栓症を対象とし,入院時の抗凝固療法を検討した.【結果】心房細動が原因の心原性脳塞栓症は366例.そのうち,抗凝固療法がなされていたのは124例.ワルファリン使用例は71例,DOAC使用例は53例だった.ワルファリン使用例でPT-INRが治療域にあったのは16例だった.DOAC使用例で添付文書通りの処方がなされていたのは35例だ...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 1; pp. 16 - 22
Main Authors 石垣, 共基, 種村, 浩, 宮, 史卓, 松尾, 皇, 北川, 泰佑, 山﨑, 正禎, 小林, 和人, 佐野, 貴則, 山中, 拓也, 内藤, 寛, 市川, 智教
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11034

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Summary:【背景および目的】脳塞栓予防のため,心房細動には抗凝固療法が必要となる場合がある.本研究の目的は,心原性脳塞栓症患者の発症前抗血栓療法の現状を明らかにすることである.【方法】2017年1月1日から2019年12月31日の間に当院に入院した患者で,心房細動が原因の心原性脳塞栓症を対象とし,入院時の抗凝固療法を検討した.【結果】心房細動が原因の心原性脳塞栓症は366例.そのうち,抗凝固療法がなされていたのは124例.ワルファリン使用例は71例,DOAC使用例は53例だった.ワルファリン使用例でPT-INRが治療域にあったのは16例だった.DOAC使用例で添付文書通りの処方がなされていたのは35例だった.抗凝固療法がなされていなかったのは236例で,少なくとも73例は心房細動がすでに指摘されていた.【結論】心房細動が原因の心原性脳塞栓症において,適切な抗凝固療法がなされている症例は少数だった.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11034