内頸動脈分岐部動脈瘤の外科的治療

内頸動脈分岐部動脈瘤の頻度は一般的に全脳動脈瘤の3-5%と報告されており, 比較的まれに経験する動脈瘤である1)4)~6)9)~11). この部の動脈瘤は若年でくも膜下出血を発症するなど, 臨床的に特徴がある. また, 周囲に多くの重要な穿通枝があることなどから, 直達手術においていくつかの問題点が存在する. 今回, われわれは自験例から, この部の動脈瘤の臨床的特徴と手術の問題点を検討したので報告する. 対象と方法 過去15年に著者らが経験した内頸動脈分岐部動脈瘤症例は17例17個で, 男性10例, 女性7例であった. 年齢は30から70歳, 平均48.3±12.2歳であった. 多発動脈瘤は...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 25; no. 6; pp. 428 - 433
Main Authors 加藤, 祥一, 伊藤, 治英, 井原, 清, 原田, 有彦, 柏木, 史郎, 秋村, 龍夫, 山下, 勝弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1997
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.25.6_428

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Summary:内頸動脈分岐部動脈瘤の頻度は一般的に全脳動脈瘤の3-5%と報告されており, 比較的まれに経験する動脈瘤である1)4)~6)9)~11). この部の動脈瘤は若年でくも膜下出血を発症するなど, 臨床的に特徴がある. また, 周囲に多くの重要な穿通枝があることなどから, 直達手術においていくつかの問題点が存在する. 今回, われわれは自験例から, この部の動脈瘤の臨床的特徴と手術の問題点を検討したので報告する. 対象と方法 過去15年に著者らが経験した内頸動脈分岐部動脈瘤症例は17例17個で, 男性10例, 女性7例であった. 年齢は30から70歳, 平均48.3±12.2歳であった. 多発動脈瘤は8例(47%)にみられた. 17例中13例がくも膜下出血で発症し, このうち9例が内頸動脈分岐部動脈瘤の破裂によるくも膜下出血であった. 17例中, 15例の内頸動脈分岐部動脈瘤に直達手術を行った. これらの症例の術前Hunt&Kosnik grade2)は0(未破裂)が6例, Iが2例, IIが3例, IIIが1例, IVが3例であった. 手術は全例, 前頭側頭開頭, transsylvian approachで動脈瘤のネッククリッピングを施行した. ネッククリッピングは15例中13例で, 内頸動脈分岐部上で前大脳動脈水平部(A1)と中大脳動脈水平部(M1)間から行った.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.25.6_428