悪性脳腫瘍に対する Photodynamic therapyとPhotodynamic diagnosis ~ 一重項酸素のモニタリング

光線力学療法(PDT)時に発生する一重項酸素(1O2)は,殺細胞効果において重要な役割をすると考えられている.今回,新しい近赤外微弱光検出器を用いて,PDT中に発生する1O2をリアルタイムにモニタリングを行い,1O2の発生とPDTの効果との関連について検討した.5-アミノレブリン酸(5-ALA)によるPDTを,9Lグリオーマ細胞(in vitro)および9Lグリオーマ細胞を移植したラット皮下腫瘍モデル(in vivo)に対して行い,1O2のモニタリングを行った.さらに異なる光照射の条件下で,1O2の発生パターンと誘導される細胞死への影響について検討した.我々の方法でPDT中の1O2の発生パター...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 28; no. 2; pp. 136 - 143
Main Authors 難波, 宏樹, 山本, 清二, 寺川, 進, 河野, 栄治, 山本, 淳考, 平野, 達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2007
日本レーザー医学会
Subjects
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.28.136

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Summary:光線力学療法(PDT)時に発生する一重項酸素(1O2)は,殺細胞効果において重要な役割をすると考えられている.今回,新しい近赤外微弱光検出器を用いて,PDT中に発生する1O2をリアルタイムにモニタリングを行い,1O2の発生とPDTの効果との関連について検討した.5-アミノレブリン酸(5-ALA)によるPDTを,9Lグリオーマ細胞(in vitro)および9Lグリオーマ細胞を移植したラット皮下腫瘍モデル(in vivo)に対して行い,1O2のモニタリングを行った.さらに異なる光照射の条件下で,1O2の発生パターンと誘導される細胞死への影響について検討した.我々の方法でPDT中の1O2の発生パターンをモニタリングすることが可能であった.低いワット数での光照射では,1O2発生量のピークは低いが緩やかに減少していた.一方,高いワット数では,1O2発生量のピークは高いが急激に減少していた.結果的に,1O2の総量は,低いワット数の光照射では1O2がより多く発生する傾向があり,強い殺細胞効果が得られた.また低いワット数での光照射は,細胞死をアポトーシスに誘導する傾向にあり,高いワット数の場合は,ネクローシスに誘導する傾向が見られた.本研究の結果から,1O2をモニタリングすることにより,PDTによる効果の予測や,患者それぞれに対して光照射の最適条件を選択できる可能性があることが示唆された.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.28.136