新規なイトラコナゾール固体分散体製剤の懸濁投与における有用性の検討

「緒言」トリアゾール系抗真菌剤であるイトラコナゾールは, 皮膚真菌症, 内臓真菌症, ならびに爪白癬の患者に対し, 現在, 臨床で広く使用されている治療薬である1-5). このイトラコナゾールは, 水への溶解度が1μg/mL以下の難溶性薬物であるため, 経口投与における有効血中濃度を確保するためには, 製剤化工程において, 薬物の溶解性を改善する製剤的工夫を施す必要がある6-17). また, イトラコナゾールはpκa3.7の塩基性薬物であるため, 製剤的工夫を施したとしてもpHが低い溶液や胃液でなければ溶解しない9-11). そのため, 現在, 使用されているイトラコナゾール製剤は, 酸性溶液...

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Published in医療薬学 Vol. 34; no. 5; pp. 403 - 410
Main Authors 薗田, 良一, 大熊, 盛之, 砂田, 久一, 大島, 孝雄, 青山, 昭則, 畑, 芳幸, 保田, 国伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2008
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.34.403

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Summary:「緒言」トリアゾール系抗真菌剤であるイトラコナゾールは, 皮膚真菌症, 内臓真菌症, ならびに爪白癬の患者に対し, 現在, 臨床で広く使用されている治療薬である1-5). このイトラコナゾールは, 水への溶解度が1μg/mL以下の難溶性薬物であるため, 経口投与における有効血中濃度を確保するためには, 製剤化工程において, 薬物の溶解性を改善する製剤的工夫を施す必要がある6-17). また, イトラコナゾールはpκa3.7の塩基性薬物であるため, 製剤的工夫を施したとしてもpHが低い溶液や胃液でなければ溶解しない9-11). そのため, 現在, 使用されているイトラコナゾール製剤は, 酸性溶液中で溶解する水溶性高分子を基剤として用い, 製剤化工程においてイトラコナゾールを非晶質化させた固体分散体とすることによって, その溶出性を改善し, 経口投与における有効血中濃度が確保されている7,8,16,17). また, イトラコナゾール製剤による爪白癬治療(パルス療法)は, 一回服用量が200mg(4カプセル), 一日服用量は400mg(8カプセル)と服用量が多い1,5). したがって, 服用性の向上が期待できる剤形の製剤化に対するニーズは大きいと考えられた.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.34.403