処方オーダリングシステムおよび TDM オーダリングシステムと連動した抗 MRSA 薬使用届け出システムは適正使用を推進する

「緒言」抗菌薬は, 耐性菌の発生を防ぐためにも適切な治療濃度域で使用されなければならない. なかでも, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphyrococcus aureus:MRSA)感染症治療薬であるバンコマイシン(VCM), アルベカシン(ABK), テイコプラニン(TEIC), ならびにリネゾリド(LZD)による薬物療法は, より適正な使用のためにTDM(Therapeutic Drug Monitoring;治療的薬物濃度モニタリング)を行うことが望ましいとされている. TDMの実施は, 臨床効果および安全性において有益であるだけではなく...

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Published in医療薬学 Vol. 34; no. 5; pp. 419 - 425
Main Authors 小野, 尚志, 粟屋, 敏雄, 佐藤, 真由美, 松原, 和夫, 綱川, 智之, 山田, 武宏, 須野, 学, 田崎, 嘉一, 小城, 香緒里, 山下, 恭範, 梅津, 典子, 飯田, 慎也, 大滝, 康一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2008
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.34.419

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Summary:「緒言」抗菌薬は, 耐性菌の発生を防ぐためにも適切な治療濃度域で使用されなければならない. なかでも, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphyrococcus aureus:MRSA)感染症治療薬であるバンコマイシン(VCM), アルベカシン(ABK), テイコプラニン(TEIC), ならびにリネゾリド(LZD)による薬物療法は, より適正な使用のためにTDM(Therapeutic Drug Monitoring;治療的薬物濃度モニタリング)を行うことが望ましいとされている. TDMの実施は, 臨床効果および安全性において有益であるだけではなく, 経済的にも重要であるという報告は多数なされている1,2). しかし, TDMの実施にあたっては, 採血時間が不正確であるなどの問題点も多くある. 一方, 日本感染症学会から, 抗MRSA薬使用の許可あるいは届け出制が推奨されている(社団法人日本感染症学会, 抗MRSA薬使用の手引きhttp://www.chemotherapy.orjp/news/gakkai_32.html)こともあり, 各施設において抗菌薬の適正使用へのさまざまな取り組みがなされてきた1-6). それらのなかで, 抗MRSA薬を病院の薬剤部門から払いだす際に, 医師に使用届を書面にて提出させる方法がよく用いられている. この方法を用いると, 抗MRSA薬の使用量減少につながるという3,4). すなわち, 抗MRSA薬を必要としない患者への投与を制限することにより, 不適正な薬物治療を防止しようとするものである. しかし, 紙媒体での届け出による管理については, その保管や提出時の煩わしさに加え, 使用期間のチェックまでは厳密に行えないことが問題点として挙げられている3).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.34.419