キャリーオーバーした難治性ネフローゼ症候群に対しミコフェノール酸モフェチルの投与が有効であった2例
小児期に発症し,各種免疫抑制剤の投与でも完全寛解に至らず,成人期にキャリーオーバーした難治性ネフローゼ症候群に対し,ミコフェノール酸モフェチルを投与し良好な経過を得た2例について報告する。2例とも幼少期にネフローゼ症候群を発症し,頻回に再発を繰り返したためシクロスポリン,シクロフォスファミド,ミゾリビンなどの各種免疫抑制剤を投与されていた。いずれも成人期にキャリーオーバーし,シクロスポリンの腎毒性,シクロフォスファミドの投与量限界などから既存の免疫抑制剤による寛解は困難と判断し,ミコフェノール酸モフェチルの投与を開始した。症例1は投与開始直後と12カ月後にそれぞれ再発を認めたものの尿蛋白は速や...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 18; no. 2; pp. 131 - 135 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
2005
日本小児腎臓病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.18.131 |
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Summary: | 小児期に発症し,各種免疫抑制剤の投与でも完全寛解に至らず,成人期にキャリーオーバーした難治性ネフローゼ症候群に対し,ミコフェノール酸モフェチルを投与し良好な経過を得た2例について報告する。2例とも幼少期にネフローゼ症候群を発症し,頻回に再発を繰り返したためシクロスポリン,シクロフォスファミド,ミゾリビンなどの各種免疫抑制剤を投与されていた。いずれも成人期にキャリーオーバーし,シクロスポリンの腎毒性,シクロフォスファミドの投与量限界などから既存の免疫抑制剤による寛解は困難と判断し,ミコフェノール酸モフェチルの投与を開始した。症例1は投与開始直後と12カ月後にそれぞれ再発を認めたものの尿蛋白は速やかに消失し,症例2は投与開始後10カ月間再発を認めておらず,いずれも良好な臨床経過である。ミコフェノール酸モフェチルは副作用も少なく,難治性ネフローゼ症候群に対する効果が期待されており,今後長期に経過を観察し効果を見極める必要があると思われた。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.18.131 |