スマートフォンを用いた脳卒中遠隔医療態勢の構築─阿蘇モデル

要旨:【背景と目的】熊本県の阿蘇医療圏では急性期血行再建療法が実施できず,阿蘇市外へ二次搬送しているが,搬送に1 時間を要し,2010 年に搬送した11 名中rt-PA 実施は1 名のみであった.一次搬送された病院でrt-PA 投与を行うべく,脳卒中基幹病院と一次救急モデル病院間でスマートフォンを用いた遠隔医療態勢の構築を図った.【方法】モデル病院担当医はスマートフォンアプリ“RDICOM”を使用し,患者のNIHSS スコア,頭部CT 画像をサーバーに送信する.基幹病院専門医はRDICOM情報に基づきrt-PA の適応を判断,投与を指示する.その後,点滴静注しながら基幹病院へ搬送する.【結果】...

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Published in脳卒中 Vol. 36; no. 1; pp. 16 - 22
Main Authors 甲斐, 豊, 安東, 由喜雄, 宇宿, 功市郎, 倉津, 純一, 平野, 照之, 本田, 省二, 渡邉, 聖樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2014
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.36.16

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Summary:要旨:【背景と目的】熊本県の阿蘇医療圏では急性期血行再建療法が実施できず,阿蘇市外へ二次搬送しているが,搬送に1 時間を要し,2010 年に搬送した11 名中rt-PA 実施は1 名のみであった.一次搬送された病院でrt-PA 投与を行うべく,脳卒中基幹病院と一次救急モデル病院間でスマートフォンを用いた遠隔医療態勢の構築を図った.【方法】モデル病院担当医はスマートフォンアプリ“RDICOM”を使用し,患者のNIHSS スコア,頭部CT 画像をサーバーに送信する.基幹病院専門医はRDICOM情報に基づきrt-PA の適応を判断,投与を指示する.その後,点滴静注しながら基幹病院へ搬送する.【結果】2012 年6 月~2013 年5 月に15 名が搬送され,rt-PA の適応があった5 名に来院から概ね1時間で合併症なく実施できた.【結論】本システムによる遠隔支援で,今までrt-PA 治療が不可能であった地域での実施可能性が示された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.36.16