エタネルセプトによる関節リウマチ治療中に結核性腹膜炎を呈した一例

73才,女性.1998年関節リウマチを発症.2007年よりエタネルセプト(ETN)が開始され,プレドニゾロンおよびメトトレキサート(MTX)との併用で低疾患活動性を維持していた.結核罹患歴はないが,ETN開始時よりイソニアジドを予防的に内服された.2010年8月高熱,腹部膨満感を自覚し,腹部CTで多量の腹水貯留を認めたため当科入院.ETNおよびMTXは中止し,抗生剤投与を行ったが奏功しなかった.腹水検査ではADAが104.9 U/lと高値で,細菌および真菌培養,抗酸菌塗抹検査は陰性であったが,PCR法でMycobacterium tuberculosis陽性,培養検査も陽性で,イムノクロマト法...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 34; no. 6; pp. 501 - 509
Main Authors 黒岩, 孝則, 日野, 拓耶, 東, 直人, 岡﨑, 亮太, 角田, 慎一郎, 北野, 将康, 佐野, 統, 白野, 倫徳, 関口, 昌弘, 坪田, 典之, 藤田, 計行, 森本, 麻衣, 野上, みか, 西岡, 亜紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2011
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.34.501

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Summary:73才,女性.1998年関節リウマチを発症.2007年よりエタネルセプト(ETN)が開始され,プレドニゾロンおよびメトトレキサート(MTX)との併用で低疾患活動性を維持していた.結核罹患歴はないが,ETN開始時よりイソニアジドを予防的に内服された.2010年8月高熱,腹部膨満感を自覚し,腹部CTで多量の腹水貯留を認めたため当科入院.ETNおよびMTXは中止し,抗生剤投与を行ったが奏功しなかった.腹水検査ではADAが104.9 U/lと高値で,細菌および真菌培養,抗酸菌塗抹検査は陰性であったが,PCR法でMycobacterium tuberculosis陽性,培養検査も陽性で,イムノクロマト法でM. tuberculosisと同定でき,結核性腹膜炎(TBP)と診断した.結核診療専門施設に転院し,抗結核薬4剤による化学療法が開始され,速やかに改善した.TBPは頻度が低く,生物学的製剤使用中の合併報告も多くない.ETN使用中に限ると1例報告されているのみである.TNF阻害薬使用中の腹部症状出現時は常に「疑い」,その上で各検査法の特性,限界を考慮した適切な診断を行うことが重要である.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.34.501