小児膀胱ヘルニアの1 例

膀胱ヘルニア(以下本症)は,膀胱の一部が腹壁もしくは骨盤部の正常または異所性の開口部から脱出することによって起こる疾患である.本症の報告例のほとんどが高齢の男性であり小児膀胱ヘルニアの報告は稀である.今回陰茎の浮腫,屈曲という特異な症状で発症し,超音波検査,膀胱造影にて本症と診断した1 例を経験した.症例は680 g で出生した超低出生体重児の男児.日齢105 に陰茎の浮腫,屈曲に気づかれ当科にコンサルトされた.超音波検査にて,両側鼠径部に膀胱の一部が脱出するのが確認された.膀胱造影でも同様の所見であり本症と診断した.児は肺高血圧を合併しておりその改善をまって手術の方針とした.経過観察中に嵌頓...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 1029 - 1032
Main Authors 中原, さおり, 深見, 絵里子, 石田, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2014
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.50.6_1029

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Summary:膀胱ヘルニア(以下本症)は,膀胱の一部が腹壁もしくは骨盤部の正常または異所性の開口部から脱出することによって起こる疾患である.本症の報告例のほとんどが高齢の男性であり小児膀胱ヘルニアの報告は稀である.今回陰茎の浮腫,屈曲という特異な症状で発症し,超音波検査,膀胱造影にて本症と診断した1 例を経験した.症例は680 g で出生した超低出生体重児の男児.日齢105 に陰茎の浮腫,屈曲に気づかれ当科にコンサルトされた.超音波検査にて,両側鼠径部に膀胱の一部が脱出するのが確認された.膀胱造影でも同様の所見であり本症と診断した.児は肺高血圧を合併しておりその改善をまって手術の方針とした.経過観察中に嵌頓や排尿障害を起こすことなく1 歳8 か月に両側根治術を施行した.術後経過は良好である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.50.6_1029