コーナリング中の頭, 目, 耳

福田1)はバスの車内風景を活写して(図1), 運転手, 立った乗客, 座った乗客の三人三様の姿勢を対照し, 移動運動を行う際, ことに乗り物の上でとる姿勢について語っている. 様々な頭位での回転性後眼振実験の結果を敷衍して彼が言うのは, 乗り物の上の人は乗り物によって受動的に移動しているが, それにもかかわらずあたかも自己が能動的に運動しているかのような姿勢をとることが, 動揺病予防とパフォーマンス向上にとって意義があるということだった. 図2はサーキットを走行中の車載カメラ映像のひとコマを並べたものだ. 直線部分を走行中のAでは, 運転者, 同乗者ともに頭部は中立の位置にあるが, 左コーナー...

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Bibliographic Details
Published inEquilibrium Research Vol. 70; no. 4; pp. 256 - 259
Main Author 村井, 紀彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2011
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.70.256

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Summary:福田1)はバスの車内風景を活写して(図1), 運転手, 立った乗客, 座った乗客の三人三様の姿勢を対照し, 移動運動を行う際, ことに乗り物の上でとる姿勢について語っている. 様々な頭位での回転性後眼振実験の結果を敷衍して彼が言うのは, 乗り物の上の人は乗り物によって受動的に移動しているが, それにもかかわらずあたかも自己が能動的に運動しているかのような姿勢をとることが, 動揺病予防とパフォーマンス向上にとって意義があるということだった. 図2はサーキットを走行中の車載カメラ映像のひとコマを並べたものだ. 直線部分を走行中のAでは, 運転者, 同乗者ともに頭部は中立の位置にあるが, 左コーナー旋回中のBでは, 運転者の頭部は後ろから見て左側へroll回転(頭部前後軸まわりの回転)するとともに, 上から見て反時計回りにyaw回転(頭部上下軸まわりの回転)もしている. これに対して同乗者の頭部には顕著な偏位は認められない. 写真右側二段C, Dは, 左側で同乗者であった者が今度は運転者となって行った周回中の画像である.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.70.256