上部尿路腫瘍に対してHo: YAGレーザーを用いた腎温存内視鏡手術を施行した 3 例
上部尿路(腎孟尿管)腫瘍に対する一般的な治療方法は, 膀胱部分切除を含めた腎尿管摘除術である. 一方, 硬性, 軟性尿管鏡の開発進歩により1980年代後半から上部尿路に対する内視鏡検査が可能となった. さらにHuffman, Bluteらにより上部尿路腫瘍に対する腎温存内視鏡手術が報告された. しかしながら, 上部尿路腫瘍に対する腎温存手術については, 議論の多いところである. 一般的には, 単腎症例, 両側同時発生腫瘍, 腎機能障害症例, 腎尿管摘除術拒否症例が腎温存手術の適応となる. 上部尿路腫瘍に対して, 腎温存内視鏡手術を行うためには, 表在性腫瘍で低異型度であることが条件となる. 腫...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 3; pp. 275 - 278 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2001
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.68.275 |
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Summary: | 上部尿路(腎孟尿管)腫瘍に対する一般的な治療方法は, 膀胱部分切除を含めた腎尿管摘除術である. 一方, 硬性, 軟性尿管鏡の開発進歩により1980年代後半から上部尿路に対する内視鏡検査が可能となった. さらにHuffman, Bluteらにより上部尿路腫瘍に対する腎温存内視鏡手術が報告された. しかしながら, 上部尿路腫瘍に対する腎温存手術については, 議論の多いところである. 一般的には, 単腎症例, 両側同時発生腫瘍, 腎機能障害症例, 腎尿管摘除術拒否症例が腎温存手術の適応となる. 上部尿路腫瘍に対して, 腎温存内視鏡手術を行うためには, 表在性腫瘍で低異型度であることが条件となる. 腫瘍の病理組織診断は, 硬性, 軟性尿管鏡を用いて直視下に生検することで可能となった. しかし, 従来のCT, MRI, 体表からの超音波では, 腫瘍の壁外浸潤の程度やリンパ節転移の有無を知る上では有用であるが, 腫瘍の正確な深達度診断(その腫瘍が表在性か浸潤性か)は困難である. そこで, われわれは, 1997年より消化管病変や血管病変の診断に使われている腔内エコー(endolummal ultra-sound:ELUS)を改良して, 上部尿路腫瘍の深達度診断が可能かどうかを検討してきた. その結果, 筋層浸潤(浸潤性腫瘍)に対する感度, 特異度, 正診率は腎孟腫瘍で50%, 100%, 60%, 尿管腫瘍で100%, 100%, 100%あることを報告した. 1998年3月から2000年6月の間に日本医科大学付属病院泌尿器科を受診した上部尿路腫瘍のうちELUSと内視鏡下生検で表在性腫瘍(Tl以下)でGrade(G)1-2と診断した3症例に対して, 硬性尿管鏡下にHoYAGレーザーを用いた腫瘍切除術を施行し, 若干の知見を得たので紹介する. |
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ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.68.275 |